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中国動画配信大手のBilibili(ビリビリ)が3月29日、香港証券取引市場に上場した。2018年に上場した米ナスダック市場との重複上場となる。上場初日の始値は790香港ドル(約1万1100円)、終値は800香港ドル(約1万1200円)で、時価総額は3045億香港ドル(約4兆2900億円)に達した。
ビリビリの売上高は、2018年の41億2800万元(約690億円)から、19年には67億7700万元(約1130億円)、20年には119億9800万元(約2010億円)へと拡大を続けている。
売上高拡大の主な要因は、ユーザー数と客単価の増加にある。目論見書によると、2018年から20年までの3年間で、平均月間アクティブユーザー数(MAU)は8700万人から1億8580万人へ、平均月間課金ユーザー数も340万人から1480万人へと大幅に増加した。また、平均月間客単価も4元(約67円)から5.4元(約90円)に伸びている。
上場当日、陳睿CEOは「ビリビリの使命はユーザーのために素晴らしいコミュニティーを構築し、クリエイターが才能を発揮できる舞台を作り上げることだ」と述べた上で、「中国発の動画やゲームが世界中で愛されるよう努力していく」と抱負を語っている。
コストを惜しまぬコンテンツ拡充
ビリビリは創業当初からアニメ・漫画・ゲーム(ACG)関連のコンテンツを中心に打ち出し、音MADムービーの「鬼畜」や画面上を流れる字幕「弾幕」などが醸し出す独特のムードで人気を集めた。主なユーザーはコアな「2次元」ファンだった。
現在は当時からのユーザーに加え、中国の若者全体をターゲットとしている。対象年齢層も20代から30代に広げた。市場調査会社「艾瑞諮詢(iReserch)」によると、2020年のMAUの86%以上は35歳以下だった。この割合は、中国の他の主要動画配信プラットフォームを大きく上回る。
2次元コンテンツに関しては、ゲームの代理配信やECサイト「会員購」の運営なども手掛けており、ライブ配信事業からは中国で最も多くのバーチャル配信者が誕生している。ビリビリは、オリジナリティ溢れる「PUGV」(一般ユーザーが制作したプロ水準の動画)で、高品質なコンテンツを求める「Z世代」(1990年代中盤〜2000年代初頭生まれの世代)に応えてきた。
平均MAUが伸びつづけているのは前述のとおりだが、アクティブユーザー1人当たりの1日の利用時間も2年連続で80分以上となっている。
目論見書によると、過去3年の平均月間課金ユーザー数とアクティブユーザー1人当たりの月平均売上高が大幅に伸びているのに対し、課金ユーザー1人当たりの月平均売上高は年を追うごとに減少している。これは平均月間課金ユーザー数の伸び率が月間アクティブユーザー数の伸び率をはるかに上回ることを示している。ビリビリに課金したいと考えるユーザーが増え続けているとも言い換えられるだろう。
ビリビリは現在、コストを惜しまずコンテンツの充実を図っている。営業コストは、2018年が32億7300万元(約550億円)、19年が55億8700万元(約940億円)、20年が91億5800万元(約1530億円)と増加し続けている。
上の図のとおり、ビリビリのコンテンツコストは年を追うごとに増加している。コンテンツ関連の支出の主な内容は、ユーザー数の拡大および2次元コンテンツを中心とするコンテンツ拡充に関するものだった。2020年にビリビリが配信したアニメは3分の2以上がオリジナルIPだったが、今年も自社制作を含む新作アニメ33本の配信を予定している。
コンテンツ拡充への注力が効果を上げ、2020年は国産アニメ専用コーナー「国創」のユーザー視聴時間が前年比98%増となった。ある市場アナリストは、ビリビリは今後も国産アニメを中心に2次元コンテンツへの注力を続ける見通しで、国創をアジアにおけるアニメの中心にしようとしているとの見方を示す。
ビリビリは目論見書の中で、同社は一貫して急成長の段階にあり、ユーザー数拡大に向けてコンテンツなどに投資し、長期的な利益を出す準備をしていると説明している。
ビリビリは現在、強みの2次元コンテンツ以外にもドキュメンタリーやバラエティー、eスポーツなどのコンテンツの拡充も図っており、市場に向けて新たな可能性も示している。
原文:競核(WeChatID:Coreesports)、筆者・張翌楠、編集・朱涛偉
(翻訳・田村広子)
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