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中国最大の音声メディア「Himalaya」を運営する「Ximalaya(喜馬拉雅)」が上場に向け目論見書を提出した。目論見書では、同社が「オーディオ経済」を開拓したい旨が複数回にわたって言及されている。しかし、音声プラットフォームを使った「ライブコマース」を実現するにはまだ時間がかかるとみられる。
致命的に低いARPU
目論見書によると、Ximalayaの2018〜2020年の売上高はそれぞれ14億8000万元(約250億円)、26億8000万元(約460億円)、40億5000万元(約690億円)となっており、今年第1四半期の売上高は前年同期比65%増の11億6000万元(200億円)だった。また2018〜2020年の純損失はそれぞれ7億7000万元(約130億円)、6億1000万元(約100億円)、2億7000万元(約50億円)で売上高の伸びに反比例しており、損益分岐点に向かっているといってよい。
今年第1四半期でHimalayaの全サービスを含めた月間アクティブユーザー数(MAU)は2億5000万人。Himalayaの競合である「荔枝(Lizhi)」の昨年第4四半期のMAUは5840万人で、規模でみればHimalayaは音声プラットフォーム最大手の座を守っている。
荔枝はUGC(ユーザー生成コンテンツ)、Himalayaのもう一つの競合である「蜻蜓FM(QingTing FM)」はPGC(プロ生成コンテンツ)を主体としており、HimalayaはUGC、PGCのほか、PUGC(セミプロレベルのユーザー生成コンテンツ)を含むオールラウンドのコンテンツを抱える。Himalayaは全100カテゴリーにわたる2億8000万件のコンテンツを発信してきた。
コンテンツはHimalayaの外堀に当たる。今年第1四半期、聴取時間最長のコンテンツ上位100位のうち、71%が独自に版権を所有するものだった。いっぽう、これはコンテンツにかかるコストが大きいことも意味する。
Himalayaの収入源は主にサブスクリプション利用料、広告、ライブ配信(バーチャルギフト)、教育サービスの四つだ。サブスクリプション利用料は売上高全体の45%を占めているが、反対にUGCを主とする荔枝はライブ配信の投げ銭が売上高の98%を占めている。
Himalayaの売上高とコストを併せてみると、今年第1四半期、サブスクリプション利用料が売上高に占める割合は45%、ライブ配信は同じく16%となっている。またコンテンツに係る売上配分は売上高の33%、コストは同じく6%を占めている。コンテンツによる直接的な収入は全体の61%、直接的なコストは39%、音声コンテンツによる収益は粗利率36%前後という計算になる。
損失の大元となっているのはマーケティングコストで、営業費用のほぼ半分を占めている。しかし、投入した費用に見合った顕著な効果は表れておらず、目論見書によると、Himalayaユーザーの1日平均聴取時間は2018年の123分から2020年にはわずか18分増の141分にとどまっている。
ARPU(ユーザー1人あたりの平均売上額)からみると、Himalayaの昨年の課金ユーザーは1億5000万人で、彼らからの収入が29億8000万元(約510億円)、単純計算でARPUは19.8元(約340円)となる。
「ナレッジ(知識系コンテンツ)に課金する」という側面でみれば、Himalayaの課金率は低いわけではない。今年第1四半期のMAUに占める課金率は13.3%だ。しかしARPUでみれば、ユーザー1人1人による課金額は大きくはない。マーケティング活動でユーザーを増やすことの弊害はここにある。クーポンやキャンペーンに惹かれる大勢の新規ユーザーを取り込んでも、大きな収入にはつながらないのだ。
後編:ポッドキャストに眠る可能性
(翻訳・愛玉)
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