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IT大手のテンセント(騰訊)とTikTok運営元のバイトダンス(字節跳動)に続き、ショート動画の「快手(Kuaishou、海外版はKwai )」も「大小週(週休2日と1日を1週ごとに繰り返す勤務制度)」を撤廃した。中国では朝9時から夜9時で週6日勤務する「996制度」の是非が議論されている。その背景にはライフワークバランスや健康に対する懸念があり、経営幹部やスポーツ選手の突然死が増えていることも青壮年が急性の心疾病と無縁ではないことを示している。
実際に、心臓突然死は若年化が顕著で発生件数も増加の一途にある。中国で心臓突然死の症例は年間54万人を超え、1分間に約1人の割合で発生。それに伴い、病院外での救命システムの構築と改善も注目されている。
医療テック企業の「征帆医科(Zhengfan Yike)」は心肺蘇生を補助する医療機器を開発している。主力製品の「心肺蘇生補助ブレスレット」はすでに試作品が完成し、量産の準備が進んでいる。
心肺蘇生補助ブレスレットは、救助者が行う胸骨圧迫の位置決定と深さ、角度、テンポ調整を補助する。胸骨圧迫の効果を高め、心肺蘇生を成功させるのに役立つ機器だ。
この機器は標準的なスマートブレスレットの機能(歩数、心拍数、睡眠モニター、時計等)を備えている。胸骨圧迫が必要な場合は救急モードに変え、被救助者の両胸の中間点に置いたブレスレットに両手を重ねて行う。救助者はインジケータの色と音声案内に従ってやり方を調整すれば、効果的な胸骨圧迫が可能となる。救助者が質の高い胸骨圧迫を続けられるのは体力的に2分間とされ、次の救助者が救命処置の一貫性を保てるよう、圧迫位置の目印をつけるマーカーも備わっている。
同社の心肺蘇生補助ブレスレットは中国で特許と実用新案を取得した。
中国は国家プロジェクトを立ち上げ、5年間で心肺蘇生ができる救助者を1億人に増やす計画だ。公共の場でAEDの設置も大々的に進めている。
同社によると、人が倒れたら5分以内に心肺蘇生を行う必要があり、AEDが準備されるまでの間、胸骨圧迫で全身に血液を送る必要がある。つまり、心肺蘇生補助ブレスレットとAEDは補完する関係にあるという。同社の共同設立者・呉韬氏は、心肺蘇生の特徴を考慮して、専門的な講習やスポーツの分野で法人を対象に市場開拓する方針を明らかにした。
まずは講習を通じて影響力の確立を図る。中国赤十字社は各地域で講習を定期開催し、心肺蘇生の免許取得を求めている。遊泳ライフガードやスポーツインストラクターが対象者となるほか、中国政府が警官と警察関係者にも講習参加を義務付けているため、同社にとっては一定の需要が見込める。
スポーツシーンにも注目している。例えば、年間1000回以上開催されるマラソンやクロスカントリーといったイベントでは医師ランナーを配し、補給ポイントを設けなければならず、心肺蘇生の明確な需要がある。同社製品は手軽さと1000元(約1万7000円)という低価格が売りになる見通しだ。
同社はブレスレットの量産化と市場開拓に向けて資金調達を進めている。この心肺蘇生補助機器分野でスタートアップが成長する余地は大きい。現在競合する「SunLife」の製品はスマホより少し大きなサイズで、操作時には特定のシステムに接続する必要があるという。
(翻訳・神戸三四郎)
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