シェア自転車の哈羅出行がタクシー配車に参入。滴滴失速の間隙狙う

哈羅単車(Hellobike)から名称を変更し、事業拡大に動く哈羅出行が、主力事業のシェア自転車に加え、オンライン配車サービスを正式リリースした。タクシーに限定して配車事業を展開していく。

電動自転車を含むシェア自転車を提供してきた哈羅出行が、上海・南京・成都の3都市を皮切りに、オンライン配車サービスをスタートした。2週目からはサービス範囲を80都市に拡大する。今年9月に哈羅単車から改称すると、哈羅出行は首汽約車(Shouqi Limousine & Chouffeur)、嘀嗒拼車(Dida Chuxing)などの配車サービス企業を次々と買収。配車サービスも提供する地図アプリ高徳地図(amap)とも提携関係を結んだ。

業界最大手の失速で市場参入

シェア自転車事業のみでは立ち行かないと判断した哈羅出行だが、なぜこの時期にライドシェア市場への参入を決めたのか?同業界で圧倒的なシェアを誇る滴滴出行(Didi Chuxing)の不祥事と無関係ではないだろう。ドライバーが乗客を殺害するという痛ましい事件が5月、8月と続発した滴滴出行は、安全体制を全面的に見直す作業に追われ、他社との競争に注力する余裕はない。

滴滴出行は公称4億5000万ユーザーを抱えている。国内のライドシェア事業で億単位のユーザーを持つ企業は他にいない。ただし、今回の「自粛期間」に不便を感じたユーザーが他のサービスに次々と乗り換えることは予想に難くない。業界への新規参入には絶好のタイミングだ。そもそも、ライドシェア業界は需要に供給が全く追いつかない状況が続いている。

哈羅出行がライドシェア事業に乗り出したもう一つの理由は、アリババの十分な支援が得られたからだろう。アリババは滴滴出行の主要株主でもあるが、持ち株比率では騰訊(テンセント)に及ばない。そこで、アリババはグループ企業アント・フィナンシャル(螞蟻金服)の完全子会社「上海雲鑫」を通じ、「低碳科技」の筆頭株主となった。低碳科技は哈羅出行の経営母体にあたる。アリババは資金面だけでなく、デポジット免除制度の実施などで哈羅出行をバックアップしている。

配車をタクシーに限定する理由

滴滴事件をはじめ、ライドシェア業界では顧客の安全を脅かす事態が頻発し、業界への規制も今後は厳しくなる一方だろう。新規参入の壁はより高くなったと言える。

哈羅出行がタクシーに限定して配車事業をスタートしたのはここに理由がある。関連当局の意向や世論の流れを鑑みても、営業許可証を取得しないまま見切り発車で自家用車によるサービスを導入するのは賢明ではない。

勝敗を握るのはアリババ

既存のタクシー車両にサービスを限定する以上、顧客にとって明確な料金体系は一つの安心材料だが、反対に、大規模な値下げや優待サービスは期待できない。過去に滴滴などの先発組がこうしたキャンペーンを乱用し、政府が規制に動いたことからも哈羅出行には慎重な運用が求められる。

こうした中、哈羅出行は滴滴を脅かす存在たりえるだろうか?おそらく、短期的には難しいだろう。競合相手を次々と買収することで規模を拡大してきた滴滴は百戦錬磨だ。これまでも多くの競合が滴滴に戦いを挑んできたが、結果は望み通りとはならなかった。

哈羅出行の行く末を握っているのは、最終的にはアリババだろう。哈羅出行の筆頭株主であり、滴滴の主要株主でもあるアリババが、両者の潰し合いを望んでいるとは考え難いからだ。
(翻訳・愛玉)

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