中国スマホ業界を支えるチップメーカー、ファーウェイ・シャオミも出資する実力

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シャオミ(小米科技)傘下の「湖北小米長江産業基金(Hubei Xiaomi Changjiang Industrial Investment Fund)」とファーウェイ傘下の「哈勃科技投資(Harbo Technology Investment)」の投資動向が昨年から注目されている。両社が昨年投資した半導体関連企業は計50社以上。内訳は哈勃が18社以上、小米長江産業基金が36社以上だった。

その両社がこのほど、ToF(Time-of-Flight、飛行時間型)センサーチップの開発を手掛ける新興企業「聚芯微電子(Silicon Integrated)」に共同出資した。出資額は非公開。注目すべきは、聚芯微電子が2019年4月にOPPO系の「盛銘企業管理諮詢(Shengming Enterprise Management Consulting)」からも資金調達を行っていることだ。

シャオミ、ファーウェイ、OPPOの中国三大スマホメーカーが、この新興企業に投資するのには理由がある。

聚芯微電子 5年間の歩み

聚芯微電子は2016年1月に設立され、高性能アナログICとハイブリッドICの設計を手掛けてきた。湖北省武漢市に本社を構え、欧州や上海市などに開発拠点を設けている。

主な製品は3Dイメージセンサーとスマートオーディオアンプで、スマートフォンや自動運転、顔認証、AI(人工知能)などの分野で活用されている。

聚芯微電子は、中国で初めて裏面照射型の高解像度ToFセンサーチップと3Dイメージセンサーに用いるアルゴリズムに関する技術を確立した企業だ。また、業界トップクラスのモジュールメーカーと提携し、ワンストップ型の「3Dデプスカメラ」ソリューションを共同開発している。

2020年3月には、自社開発した裏面照射型で高解像度の三次元画像処理用ToFセンサーチップ「SIF2310」をリリースした。従来のToFセンサーと比べ、SIF2310は940nmの近赤外線波長における量子効率が少なくとも3倍に向上している。下の画像からもわかるように、SIF2310は夜間モードでも被写体を正確に捉え、鮮明に表示することを可能にした。

公式発表によると、スマートオーディオチップとソリューションはすでにOPPOやサムスン、シャオミなどのスマホメーカー向けに1億個(件)以上出荷されたという。

また、同社は2021年の「EE Times Silicon 100」にランクインし、世界的なチップメーカーの仲間入りを果たした。今後はオーディオ、ビジュアル、ハプティクスなどのマルチセンサー分野の製品開発を加速する方針だ。

三大国産スマホメーカーが聚芯微電子に出資する理由

半導体産業調査会社の仏「Yole Développement」は、ToF市場の売上高は2021年にストラクチャードライト市場を超え、向こう5年間で6億台を超えるスマホにToFセンサーが搭載されると予測する。三大国産スマホメーカーは、聚芯微電子のToFセンサーに期待して投資したとみられる。

ToF技術は、スマホのほか自動車の衝突防止センサーや停止位置検出システム、交通量モニタリングなど自動車業界でも応用されている。シャオミ創業者の雷軍氏は同社がスマート電気自動車(EV)事業に参入すると発表していた。聚芯微電子への出資は、ToF技術がスマートEVに不可欠であるためだとみられるが、自動車製造に必要なコンポーネントを事前に調達することが目的だった可能性もある。

実際のところ、ファーウェイとシャオミがマイクロエレクトロニクス関連企業に共同出資したのは今回が初めてではない。これまでにも、高周波チップメーカーの「鋭石創芯(RADROCK)」、VCSELチップメーカー「縦慧芯光(Vertilite)」、CMOSイメージセンサーメーカー「思特威(SmartSens)」などに出資している。これらマイクロエレクトロニクス関連の国産企業は中国ハイテク業界の大黒柱的な存在となっており、世界市場におけるプレゼンスも高めつつある。

作者:雷科技(ID:leitech)
(翻訳:lumu)

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