原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
欧米で始まったバーチャルバンク(デジタル銀行)の波は、アジアにも押し寄せてきています。
今回は、Headline Asia InvestorのJonathan M. Hayashiがアジア各国のデジタル銀行についてご紹介します。
デジタル銀行には、独自の銀行免許を取得する「チャレンジャー・バンク (Challenger Bank)」と呼ばれるものもあれば、提携先の銀行免許を利用する「ネオバンク (Neobank)」と呼ばれるものもあります。いずれにしても、デジタル銀行には共通して以下のような特徴があります。
・物理的な銀行支店を持っていないこと
・モバイルファーストであること
・より良いUI/UX、より革新的な金融サービスの提供を目指していること
ヨーロッパでは、Revolut、Monzo、N26、Starling Banksなどの新興企業が百万単位のユーザーを獲得し、大型ファイナンスを実行してユニコーンになっていることで界隈を賑わせています。米国では、Chime、Varo、Current、Sofi、Simple、Daveなどの人気企業も続出しています。
今回は、シリーズの前編として、日本、韓国、オーストラリアを除くアジア諸国のバーチャルバンクに焦点を当てます。韓国とオーストラリアもそれぞれ特殊な環境にありますが、日本の銀行業界は世界的にみても非常にユニークな発展を遂げています。これについては次回詳しくご紹介します。
東南アジア
・シンガポール
2020年12月、シンガポールの規制当局であるMASは、4社に初めてデジタルバンクライセンスを発行しました。そのうち2つはDigital Full Bank ライセンスで、GrabとSingtelからなるコンソーシアムと、Seaの子会社に発行されました。残りの2つは、Greenland Financial、 Linklogis Hong Kong Ltd、Beijing Co-operative Equity Investment Fund Managementからなるコンソーシアムと、 アントグループの子会社に発行されたDigital Wholesale Bankライセンスです。この4社は、Razer(FWD、Insignia Ventures、Carroとのコンソーシアム)、Osim(EZ-Link、Temasek、Far Eastとのコンソーシアム)、AMTD(Funding Societies、シャオミとのコンソーシアム)、バイトダンスなど、他の10社の候補者を抑え、ライセンスを獲得しました。
その後、新規ライセンスは発行されていません。また、どのライセンスホルダーもまだ銀行サービスを開始していません。
・マレーシア
マレーシアの規制当局は現在、初めてデジタルバンクライセンスの申請を受け付けはじめています。
すでに29件の申請があり、Grab(Singtelとのコンソーシアム)、iFAST、マレーシアのコングロマリットであるSunway(LinklogisとBangkok Bankと共同)、AirAsia、AEON Financial Serviceなどが申請しています。
・フィリピン
フィリピンでは、rural bankという地方銀行免許を持つ銀行であれば、そのライセンスをデジタルバンキングのライセンスに変更することができます。2020年4月にOverseas Filipino (OF) Bank が最初にこの変更を行い、2021年にはシンガポールを拠点とするTonikが、支店を持たない銀行としては初めてそのランセンス変更を完了しました。その後、シンガポールを拠点とするUNObankは、銀行免許からの転換ではなく直接デジタルバンキングのライセンスを取得したフィリピン初のデジタル・バンクとなりました。
・ベトナム
ベトナムの規制当局は、まだデジタルバンクに特化したライセンスを発行していません。
Timo-Plus:ベトナム初のネオバンクで、当初はVP Bankと提携していましたが、2020年にライセンス提携先をViet Capital Bankに切り替えました。2016年にスタートしましたが、2020年9月にリニューアルし、現在10万以上のアカウントを持っています。
Cake:ベトナムのライドシェアリング企業であるBe Groupが金融機関であるVP Bankと提携し、2021年1月にCakeというデジタルバンクを立ち上げました。
GIB Global:香港に本社を置く同社は、ベトナムの通信会社Vimoおよび決済事業者Gpayと提携し、ベトナムでのデジタルバンクライセンスの取得を目指すことを発表しました。
・タイ
タイの中央銀行は現在、バーチャルバンクのライセンスのさまざまなオプションを検討しています。他の東南アジア諸国とは異なり、タイには成熟した銀行環境があり、タイの成人の80%がすでに少なくとも1つの銀行口座を持っています。
Line BK:台湾でもバーチャルバンクを展開しているLINEは、Kasikorn Bankと提携して2020年10月にネオバンクサービス「LINE BK」を開始し、すでに200万人の個人アカウントを開設しています。
・インドネシア
同国ではまだデジタルバンク専用のライセンスは存在していません。
しかし、インドネシアにはいくつかのネオバンクが存在しています。LINEは2021年6月、Hana Bank Indonesiaと提携してデジタルバンクを立ち上げており、Bank Jagoと組むGojek、Seabank Indonesiaと組むSea Group、Bank Neo Commerceと組むAkulaku、Kredivoなどの企業と競争することになります。
・インド
インドの規制当局は、まだデジタルバンキングのライセンスを発行していません。
しかし、Paytm Payment Bank、Niyo、Open Bank、BharatPe、InstantPay、 RazorPayXなどのネオバンクが存在しています
※こちらの記事はHeadline Asiaからの寄稿です。
(編集・36Kr Japan)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録