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中国発コスメブランド「PERFECT DIARY(完美日記)」を運営する「逸仙電商(YATSEN)」が8月26日、2021年第2四半期(4~6月)の財務報告を発表した。
第2四半期の売上高は前年同期比53.5%増の15億3000万元(約260億円)で、成長率は第1四半期の42.7%よりやや伸びた。だが2019年、2020年にたたき出した377.11%、72.65%という成長率には及ばない。
また、今四半期も引き続き赤字の状態が続いており、純損失は前年同期比21.6%増で3億9100万元(約66億円)だった。第1四半期の純損失は3億1700万元(約54億円)で同50.78%増となっていた。
投入過多だと批判されたマーケティング費用の割合は国内他社より多い状態が続いている。同社が今期マーケティングに費やした費用は9億7300億元(約165億円)で、売上高の63.8%を占めている。前期から8.3ポイント下がったが、それでも前年同期比1.1%増となっている。同社はその要因について人件費の増加やオフライン店舗の拡大が影響したと説明している。
逸仙電商が米ニューヨーク証券取引所で上場したのは2020年11月19日。1株あたりの発行価格は10ドル50セント(約1150円)で、同日の取引終了時は18ドル40セント(約2000円)にまで上がった。上げ幅は75.24%に達し、時価総額は122億ドル(約1兆3400億円)を超えた。
今年8月26日の米市場取引終了時、同社の株価は4ドル81セント(約530円)まで大きく値下がりしていた。時価総額は30億3500万ドル(約3330億円)で、たった9カ月で75.1%も縮小してしまった。今四半期の財務報告の発表後同社の株価はさらに値下がりし、下げ幅は10.27%まで拡大した。
短期的な損失で長期的な規模拡大を狙い、売り上げを研究開発費に充て、市場での足場固めを行うことはブランドにとって健全な発展モデルである。しかし逸仙電商は巨額のマーケティング費用を割いたにもかかわらずファン離れを起こし、期待を上回る商品を打ち出せず、高評価を得ることもユーザーの忠誠度を上げることもできなかった。これが赤字から抜け出せない要因だ。
同社に出資する「Hillhouse Capital(高瓴資本)」の創業者、張磊氏はPERFECT DIARYの創業者、黄錦峰氏に対し「中国のロレアルになれ」と語っていた。だが研究開発にかけた投資でPERFECT DIARYはロレアルには及ばない。
逸仙電商は、新商品開発についてコンセプト設定から発表まで6カ月もかからないとしているが、グローバルブランドは通常7~18カ月かけて新商品を開発している。
長期にわたり赤字体制から脱却できない同社には焦りもあるだろう。現在、自己救済のためにさまざまな策を打ち出している。
まず、研究開発工場の建設だ。同社は2020年3月、韓国の化粧品ODM企業「COSMAX」と共同で7億元(約120億円)を投入し、化粧品の生産拠点建設に着手している。また今年8月には、湖北省の華中科技大学と共同で実験室を立ち上げた。
また、専利権(特許権、実用新案権、意匠権が含まれる)の購入にも積極的だ。今年3月までに同社が世界中で保有する専利権の数は75項目になった。そのうち36項目は特許権(一部は譲渡手続き中)である。ロレアルが年平均で500の専利権を申請している状況を踏まえると、逸仙電商の知的財産戦略はまだ強化する必要がある。
さらに、業務拡大も積極的に行っている。2019年から、同社はネイルカラーなどで知られる「Little Ondine(小奥汀)」、仏高級スキンケアブランド「Galenic」、台湾スキンケアブランド「DR.WU(ドクター・ウー)」の中国事業部、英高級スキンケアブランド「Eve Lom」の4ブランドを買収してきた。現在、この4ブランドと逸仙電商自身が生み出したPERFECT DIARY、「完子心選(ABBY’S CHOICE)」、「Pink Bear(皮可熊)」を合わせた7ブランドを展開している。
高い知名度が高評価を生み出すのか。今後の逸仙電商の成長を左右するカギとなるだろう。
(翻訳・Qiunai)
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