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中国発の格安ファッション通販「Cider」がシリーズBで1億3000万ドル(約140億円)を調達した。出資を主導したロシア系ファンドDST Globalのほか、米アンドリーセン・ホロウィッツ、Greenoaks Capitalなども参加した。Ciderは設立からわずか1年で4回もの資金調達に成功。評価額は10億ドル(約1100億円)を超え、ユニコーン企業に成長した。
Ciderは2020年9月に設立され、同月にエンジェルラウンドで約1000万ドル(約11億円)を調達したのを皮切りに、同年末にプレシリーズA、今年5月にシリーズAでも資金を調達している。出資者は前出のDST Globalやアンドリーセン・ホロウィッツのほか、IDGキャピタルや徳迅資本(Decent Capital)、和玉資本(MSA Capital)などだ。今回初めて出資に参加したGreenoaks Capitalは米サンフランシスコを拠点とするファンドで、グローバル展開するテック企業を長年重視してきた。これまで米インシュアテック「Clover Health」、フィンテック「Robinhood」、コミュニケーションツール「Discord」、韓国Eコマース最大手「Coupang」、英フードデリバリー「Deliveroo」に出資してきた。
CiderはZ世代をターゲットとした越境ECのプラットフォームで、安価なレディースファッションを主力商品としている。同ブランドに関連する投稿は世界各国のSNSで累計10億回以上を数え、現在は広州、北京、ロサンゼルスに事務所を構えるほか、ニューヨーク、ロンドン、ソウル、ブリスベンなどに支部を置いている。Z世代の特徴を捉え、まずはSNSを通じて初期ユーザーを集め、設立1年で世界中で200万人のフォロワーを獲得した。
ユニコーン企業へ成長した背景には、二つの決め手がある。
一つはブランディングとコンテンツ戦略だ。マーケティングチームがハッシュタグ「#cidergang」を各SNSで拡散させ、世界中のZ世代にコンテンツを届けた。
もう一つはサプライチェーンのデジタル化だ。Ciderは自社で構築したシステムでサプライチェーンの全プロセスをつないだうえで、アルゴリズムやデータ関連技術、柔軟なサプライチェーンを活用して生産工場と密接に連携。商品開発やユーザーからのフィードバック収集、販売数予測などの機能を強化してサプライチェーンを自律運営する。デザイナーは販売データやユーザーの声を次の商品に反映し、商品デザインからサンプル作成、初回ロット生産までわずか7日で終わらせる。
英市場調査会社Euromonitorのデータによると、世界のEコマース市場は2025年までに1兆ドル(約110兆円)規模になる。中でも越境コマース市場は昨年から活況で、Ciderと同じ中国発の格安ファッション通販「SHEIN」の評価額は150億ドル(約1兆6500億円)を超え、すでに上場準備中だという。同分野は現在も急成長期の最中だが、市場で知られている事業戦略に突出したものが少なく、各社とも自社の事業モデルが外部に漏れることを恐れ、静かに実力を蓄えている段階だ。その中でSHEINが頭一つ抜けて大規模な集客に成功した。急成長期が終われば、各社の競争は生産性の競争になる。技術、データ、アルゴリズムの連動によってサプライチェーンやシステムを効率化する実力を持つ者が勝利するのだ。
競争が加熱するEコマース市場について、Ciderの創業者でCEOの王琛氏は、現在はテクノロジー駆動、コンテンツ駆動、ブランド駆動を並立させた「越境コマース2.0」時代で、今後5〜10年は世界の小売業をオンライン化させる好機だと述べている。
(翻訳・愛玉)
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