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新聞や雑誌を定期購読するように、事前に支払いを済ませておくと定期的に商品が届けられる「定期購入型EC(サブスクリプション・コマース)」。顧客の手間を省く便利なサービスで、中国でも最近注目されるようになった。
こうしたサービスでは、品揃えの豊富さよりも、個々のユーザーに適した商品を提案することが肝になる。絞り込まれているラインナップから必要な商品を選ぶというスタイルは、顧客にとって満足度の高い体験となる。
先払い制度は、顧客の信頼感やロイヤルティを高める上で重要だ。会員費の徴収も顧客の定着率向上に寄与する。これらに、他では手に入らないプライベートブランド商品、コストパフォーマンスなどの要素も加われば、顧客がより定着することになる。
個人のニーズや好みに合致する商品を随時レコメンドしてくれる売り手は、ユーザーにとっては体験の質を高めてくれる存在だ。EC運営側は、精度の高いレコメンドができれば、販売増につながるだけでなく、在庫のコストやリスクも大幅に削減できる。顧客中心の思考でサービスを展開するためには、顧客とのコミュニケーションを密にし、取引記録から顧客に関する情報を収集することが大切だ。デジタル技術はこうしたサービスの精度と運営効率を高める。
定期購入型ECの利点は、商品キュレーターが顧客にもたらす手間や時間の削減だけではない。特に若年層の顧客にとっては「サプライズ感」も重要だ。自分のためにセレクトされた商品に、予想を超えた意外性を求めているのだ。
そのために最も大切なのは、商品ラインナップの選定だ。
絶対的にニーズが多い商品は日用消耗品。トイレットペーパーやペットフードなどが、補充のタイミングに合わせて自動的に届けば便利だ。
その他、顧客の好みに季節ごとのトレンドを加味した商品構成も成功の秘訣だ。北米を中心に大人気の定期購入型コスメEC「BOXY CHARM」は、月額20ドルで毎月異なるコンセプトの商品を届けてくれる。廉価商品に時折ブランド商品を織り交ぜることでお得感も演出している。
市場であまり馴染みのない商品も、定期購入型ECとは親和性が高い。日頃はあまり利用しない珍しい食品や生花などを提供することで、新たなニーズや価値を開拓できるからだ。
最近では、DNA検査によって個々の体質に最適なサプリメントを定期配送する「柒個盒子」も話題になった。顧客にぴったりのコーディネイトをAIが提供する米国発アパレルEC「Stitch Fix」も急速に業績を伸ばしている。
収集した顧客情報を新商品の展開に活かすことも大切だ。前出のStitch Fixはデータ分析の専門チームを設けて、顧客からのフィードバックをもとにシーンやアイテム別に細かな分析を行っている。例えば、オフィス内の体感温度とカーディガンの需要には密接な関係があることがわかった。こうしたデータから商品構成を頻繁に調整することが、長期的発展には重要だ。
中国でも定期購入型ECに参入する企業が次々と現れているものの、市場はいまだ黎明期だ。しかし、似たようなサービスは古くから存在している。牛乳配達がいい例だ。ECではターゲットは若年層で、彼らのニーズはより多様で、生活に効率を求める傾向が強い。
需要を掘り起こすためには、具体的なシーンを創り出し、広く知らしめることが必要だ。どのような場面でニーズが生まれるのか、どのようなライフスタイルを提供できるのか、などに対するソリューションが業界の将来を左右する。ただし、長期的成功の秘訣は旧来の業態と変わらない。つまり、商品の質、在庫の確保、アフターサービスだ。
(翻訳・愛玉)
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