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車載用のAR(拡張現実)ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)を手掛ける「睿維視(REAVIS)」がエンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達したことがわかった。「線性資本(Linear Venture)」がリード・インベスター、「藕舫天使(Ofound Angel)」がコ・インベスターを務めた。調達した資金は主に製品の量産や技術開発に充てる。
同社は2018年に英ケンブリッジで創業。現在は中国の南京市に本社を置き、ケンブリッジに開発センターがあるほか、深圳市にオフィスがある。同社は最先端のAR表示技術に注力しており、現実の視野とARで表示される視野を融合し、次世代のヒューマンコンピューターインタラクション(HCI)を構築する。REAVISの持つ技術は幅広い場面で応用されている。例えば車載用HUDや車のウィンドウへの表示、ホログラフィックを利用した舞台、ショーウィンドウなどだ。同社は現在、次世代HUDシステムの開発と生産に力を入れている。HUDは車両の走行情報(運転状況やナビゲーション情報など)をバーチャル映像としてフロントガラスに投影し、ドライバーの視線前方に表示する技術だ。
自動車のスマート化が進むにつれ、HUD市場の成長も加速している。HUDの普及率は2020年に世界で約10%に過ぎず、中国ではわずか3%前後で世界平均よりはるかに低かった。東方証券(Orient Securities)の試算では中国市場におけるHUDの普及率は2025年に30%以上に達し、市場規模は200億元(約3600億円)に近づくという。5年間の年平均成長率は40%を超える見込みだ。長城証券(Great Wall Securities)が発表した2020年8月のデータによると、中国国内ではすでに205シリーズ780車種がHUDを搭載している(オプション装備と標準装備を含む)。現時点ではBMW、メルセデス・ベンツ、アウディなどの高級車と日本車の設置率が比較的高い。製品は主にW-HUD(windshield-HUD、フロントガラスに直接バーチャル映像を映し出す方式)で、大半はオプションの形式を取っている。
HUDの普及率が低い原因には、コストが高いこと、取り付けられるスペースが限られていること、ARの表示効果がまだ十分でないことなどが挙げられる。車のフロントガラスには一定の厚みがあり、画像がフロントガラスの車外側と車内側で二回反射することで、二重に見えてしまう(ゴースト現象)。現在はフロントガラスの間に特注の楔形の膜を挟むことでゴースト現象を防ぐ方法が主流だ。しかしこの方法ではフロントガラスを特注しなければならず、HUD搭載のコストが高まるばかりか、HUDの利用範囲を限定してしまい、普及が進まない原因となっている。
REAVISは普通のフロントガラスでもゴースト現象を起こさない投影技術「Ghost Image Free(GIF)」を2018年に実現した。2メートルから無限遠まで全ての奥行きでゴースト現象を排除できる。またTFT(薄膜トランジスタ)、DLP(デジタル光処理) LCoS(反射型液晶) 、LBS(レーザービームステアリング)などそれぞれ異なるタイプのプロジェクターにも対応している。特許協力条約(PCT)にもとづく国際特許も2件出願済み。現在同社は全く新しいHUDのシステムアーキテクチャを開発中だ。HUD製品をオーダーメイドから規格化することで、コストの大幅な削減と開発期間の縮小を実現し、HUDの普及を進めていく。
REAVISの開発チームはケンブリッジ大学出身者で構成されている。鄧遠博CEOは浙江大学の光電子工学専攻を卒業後、修士・博士課程及びポストドクター時代にケンブリッジ大学の先端光工学・電子工学センター(CAPE)でホログラム、AR、3D画像の表示方向の研究をしている。ハードウエアとアルゴリズムの開発を担当する董道明CTOは米アップルのほか、ホログラフィックディスプレイでは世界トップレベルの英「VividQ」などに勤めていた。このほかにも国内外でHUDに関する経験を多く積んだエンジニアや専門家が揃っている。
(翻訳・山口幸子)
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