出生前遺伝子検査が保険適用で拡大にはずみ、中国ベリー・ゲノミクス

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巨大な人口を抱える中国だが、新生児が先天性疾患を持って生まれる割合が高い国でもある。新生児の健康状態を整えることは国家が最重要視する課題の一つだ。健康分野での中長期的国家計画「健康中国2030規画綱要」では、先天性異常を低減させるため、妊娠前、妊娠中、新生児の3フェーズに分けた疾病予防体制を整えるよう明記している。

中国では夫婦1組につき3人目の出産が承認されたことに伴い、高齢出産の割合も上昇しているという。高齢出産では先天性疾患の発生率も上昇するため、検査体制の拡充が求められているが、遺伝子検査報告にかかる期間の長さや、現場での即時処理能力の低さが問題視されている。

このため遺伝子解析大手、貝瑞基因(ベリー・ゲノミクス)は胎児のエクソーム解析(疾患関連遺伝子の解析)を一カ所で完結させるソリューションを打ち出した。外部の研究機関へ解析を委託する方式ではなく、サンプル採取、エクソームのみの採取、DNAライブラリー構築、高情報量の遺伝子配列を同時に調べる「ハイスループットシーケンス」、データの分析・解析といった全工程をワンストップで行えるようにするものだ。

上記のソリューションは、貝瑞基因が持つシーケンスプラットフォーム「NextSeq CN500」と同社が開発したDNAライブラリーの構築システム「Essential NanoWES(eWES)」を通じて行う。NextSeq CN500は国家薬品監督管理局(NMPA)の認可を受けており、大規模な遺伝子検査を行う次世代シーケンスで広く応用できるプラットフォームとなった。

妊娠時期の検査は時間との勝負で、検査結果が出るのが早ければ早いほど、十分な対処が行える。先天性疾患の予防には非常に重要な要素だ。同ソリューションで注目すべきは検査結果が出るまでの時間をさらに短縮させたことだ。

企業提供

貝瑞基因によると、上記ソリューションの下でサンプル採取から結果報告までの全工程にかる時間は5日ほどで済む。胎児のエクソーム解析および疾患遺伝子検査にかかる時間を大幅に短縮させた。一体型装置を使用すれば、8時間で48サンプルを同時に解析できる。

貝瑞基因は、「リプロダクティブ・ヘルス」分野で国内外2000以上の病院と臨床面、科学研究面で協力している。「新型出生前診断(NIPT)」の国内シェアは30%以上を占め、500万人以上に検査を実施してきた。また、前述の健康中国2030規画綱要が明記する3フェーズの先天性疾患予防体制構築のために以下を提案している。

■ 妊娠前遺伝子診断の実施。「NanoWES」システムを応用し、中国人が発症しやすい遺伝性疾患100種類余りを一度にスクリーニングし、今後のリスクを提示する。

■ 妊娠中の予防のためのプロダクト展開。具体的には染色体異常検査(NIPT)を行う「貝比安(BambniTest)」、100種類の染色体、ゲノム検査を行う「貝比安Plus(BambniTest Plus)」、出生前診断のほか、流産絨毛染色体検査では染色体のコピー数変化を調べる「科諾安(Xromate)」などがある。また、超音波で構造異常の見つかった胎児に全エクソームシーケンス(WES)の補助的診断も行う。

■ 新生児に対しては、乳幼児が発症しやすい遺伝子疾患を調べるための全ゲノムシーケンス(WGS)を実施。ハイスループットシーケンスプラットフォームを通じて1回の検査で2万超のターゲット遺伝子を検査し、7000種類を超す単一遺伝子疾患を調べられる。

貝瑞基因の出生前検査はこのほど、北京市の健康医療保険の適用範囲内となった。今後、同社はさらに多くの製品をリリースし、中国の先天性疾患予防体制の構築に貢献するだろう。

(翻訳・Qiunai)

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