アリババ、テンセントともに出資。中国版インスタ「小紅書(RED)」が560億円調達 評価額2.3兆円に迫る

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アリババ、テンセントともに出資。中国版インスタ「小紅書(RED)」が560億円調達 評価額2.3兆円に迫る

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中国版インスタグラムとも称さる人気SNS「小紅書(RED)」が新たに5億ドル(約560億円)を調達し、評価額が200億ドル(約2兆2600億円)となった。出資を主導したのはシンガポール政府系投資会社のテマセク・ホールディングスとテンセントで、アリババなどの既存株主も追加出資した。

2013年に設立された小紅書は、ファッション・美容・グルメ・旅行情報等生活に関わるコンテンツを写真や画像で投稿できるほか、興味のある商品を直接購入できるというソーシャルECの役割も担っている。

公表されたデータによると、同社は設立8年で5回の資金調達を行っており、前回は2018年6月にアリババが主導するシリーズDで3億ドル(約340億円)を調達している。

小紅書のこれまでの資金調達 出典:企業データベース「天眼查(Tianyancha)」

小紅書の評価額は今年半ばに100億ドル(約1兆1300億円)に迫っていたが、それから半年足らずで倍増した。また、中国のモバイルインターネット調査会社Quest Mobileによると、小紅書の月間アクティブユーザー(MAU)およびデイリーアクティブユーザー(DAU)は今年3月から増え続け、8月にはMAUが1億3000万人超え、DAUが4500万人超えといずれも前年同月から70%以上の伸びを示した。

小紅書のDAU 出典:Quest Mobile
小紅書のMAU 出典:Quest Mobile

小紅書の主な収入源は広告とEコマースだ。過去の報道によると、昨年の広告事業による売上高は6〜8億ドル(約680億〜900億円)で、売上高全体の約80%を占めている。一方、昨年のEコマース事業のGMV(流通取引総額)は、自社プラットフォームと外部プラットフォーム経由を合わせて約10億ドル(約1130億円)で、売上高全体の15〜20%を占めたとみられる。36Krの取材では、今年は広告事業の売上高がさらに倍増すると見込まれている。売上高の約80%を占める広告事業の売上高を8億ドルとして計算すると、小紅書の昨年の売上高は約10億ドル。200億ドルの評価額に対してPSR(株価売上高倍率)は20倍になる。

しかし、ある大手PEファンドは検討を重ねた結果、今回は小紅書への出資を断念したという。理由は二つだ。

一つ目の理由は、ユーザー1億人を超えるアプリの運営企業として、小紅書は規制当局の方針変更などに影響を受ける可能性が比較的大きいこと。二つ目の理由は、収益源が多様化されておらず、広告事業に大きく依存しているため、評価額の維持が難しいことだという。

過去1年、小紅書は商品認知から購入までの全ブロセスにおけるユーザーライフサイクルの自走体制構築を進めてきた。。8月にはユーザーアカウントに設けてきた企業アカウント・個人アカウントの区分を廃止し、新たにプロアカウント・非プロアカウントの区分を設けた。プロアカウントを取得すれば、誰でも小紅書に出店できるようになり、企業がコンテンツを配信することも個人が出店することも可能になる。

同社が勢いを盛り返してきたことにライバルも注目している。中国のニュースメディア「晩点(Late Post)」によると、TikTok中国版の「抖音(Douyin)」は小紅書の研究に専念するチームを立ち上げたという。抖音は、小紅書をショート動画アプリ「快手(Kuaishou)」と同格に位置づけたとみられる。

今回の資金調達は、米国上場を断念した後に行われた。今年4月、ロイターは小紅書が年内に米国で上場する計画だと伝えた。しかし7月にはブルームバーグが小紅書は米国上場を保留にしたと報じ、その理由として、中国の関連当局が海外で上場する企業に対する規制を強化するためだとした。

複数メディアによる最新情報では、小紅書は上場先を米国から香港に変更し、少なくとも5億ドル(約560億円)を調達することを検討中だが、小紅書は報道を否定している。それでも、今回の資金調達を機に香港上場計画を本格的に始動させる可能性はあるだろう。
(翻訳・愛玉)

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