EC大手の京東集団が自動配送ロボットを実用化、AIスタートアップと協業しコスト大幅削減へ

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EC大手の京東集団(JD.com)が、商品の無人配送システムの実現に向けてさらに一歩前進した。自動運転のスタートアップと協業し、湖南省長沙市で宅配ロボットを正式に稼働させたのだ。

京東と提携し、自動配送ロボット「超影1000C」を開発したのは、無人運転技術の開発を主力とする長沙市のAI企業「長沙行深智能科技(Go Further AI)」。2017年に設立され、自動運転分野で30年以上の研究キャリアを持つ人材で構成されている企業だ。主に配送向けの低速自動運転ロボットを開発しており、京東集団も出資している。

無人配送分野に参入する企業は少なくない。しかし、行深智能は、可用性、安全性、費用対効果などの面で優位性があるといい、公道実験でも実績がある。

同社の超影1000Cは高さ1.6メートル、最高時速18キロメートル、最大積載量は200キログラムで、最大30件の貨物を積むことができる。信号を認識し、歩行者や障害物も自動で回避する。今年6月には試験運転もクリアした。行深智能の専門チームはLiDAR、ミリ波、超音波などのセンサーを組み合わせ、シャシ、ストラクチャ、ハードウェア、ソフトウェアを含むフルスタック設計を独自に実現した。

超影1000Cのもう一つの強みは、京東の受注・配送体制に特化している点だ。ECプラットフォームで受注した商品は、大きさや配送エリアによって区分され、配送ロボットに分配される。ロボットは入力されたデータに従い、それぞれの荷物を配送先の建物のエントランスまで自動的に届ける。配達予定時間はSMSで顧客側に伝えられる。あらかじめ通知された認証コードを入力することで荷物の引き渡しが完了する。将来的にはロボット本体から運搬ケースを分離して配達先に設置し、そのまま宅配ボックスとして機能させる仕組みを目指す。京東集団としては初の無人配送ステーションが稼働し始めたわけだが、今後も社内でスマート物流体制の拡大を目指していくという。

配送ロボットを競合に先駆けて実用化することは、データを蓄積するという面でも強みになる。実働データの蓄積があってこそ、コーナーケース(稀にしか発生しない状況)に対応できるからだ。

無人配送車を普及させるためには、無人配送車に配達員以上の価値がなければならない。行深智能の創業者、安向京氏は具体的な数字で説明した。

現段階で超影1000Cは一度に30件の貨物を運搬でき、航続距離は40キロメートル。1日で6回の配送に耐える。単純計算で、1日180件の荷物を配達できることになる。一方、配達員1人の1日のノルマは70件。多くても100件といったところだ。また、経済専門メディア「第一財経」の調べでは、中国の配達員の平均月給は6200元(約10万円)。現状では、配達ロボットは配達員の約2倍のコストがかかるが、ロボットが普及すれば物流の全プロセスがIT化され、多数の配達員を抱える管理コストが削減できるようになる。

京東集団のデータによると、同グループの倉庫・配送コストは、2014年の80億元から2017年には258億元まで膨らんでいる。また、物流部門の人件費は2014年の41億元から2016年には108億元となっている。このまま給与水準が上昇すれば、負担は大きくなる一方だ。配送ロボットの導入は、こうしたコストの削減策でもある。

これは物流業界全体に言える。中国の物流コストは世界の平均値を大幅に上回っている。物流コストの削減は業界全体の課題であり、そのソリューションは大きな可能性を秘めている。
(翻訳・愛玉)

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