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95%以上が頓挫すると言われるスタートアップの世界で、人気芸能人の起業が投資家の人気を集めている。すでに知名度や人気があること、多くのファンを抱えていることなど、芸能人の起業はスタート時点で多くのアドバンテージを持っているからだ。一方で、経営経験が皆無だったり、経営に参画する時間が捻出できなかったりといった理由で失敗に終わるリスクも高い。今年設立したばかりの「星鎮(STAR TOWN)」は、こうした芸能人の起業を専門に支援している。
多忙な有名人に代わってブランド戦略や製品企画、Eコマース運営、販路コーディネイトなどを請け負い、ジャッキー・チェンやジェット・リーといった俳優、卓球の中国代表選手で五輪金メダリストの林丹など、すでに数十人のスターと提携している。
例えば、林丹夫妻が立ち上げたベビー向けケア用品ブランド「Doreen 杜芬」は今年9月、ソーシャルEC「雲集(YUNJI)」が主催したマタニティ・ベビー用品の展示会に出展。バックアップしたのは星鎮で、Doreenはローンチわずか3日間で数百万元(数千万円)を売り上げた。雲集のアプリ起動時に表示される広告枠を獲得したことも大きく貢献したという。
こうしたブランド戦略支援の他に、星鎮はゼロベースからの起業支援、株式投資による支援などを行っている。
台湾のアイドルユニット出身で実業家に転身したウーズン(呉尊)が経営するハンバーガーショップ「Royal Stacks」に関しては、デリバリープラットフォームの「餓了麼(Ele.me)」や「美団点評(Meituan-Dianping)」でプロモーションを展開した。星鎮創業者の曹歓氏によると、こうした芸能人経営の飲食店をオンライン上に集めた「スターチャンネル」を開設する計画で、餓了麼と協議しているという。同様の企画はオフラインでの展開も検討しており、不動産デベロッパーとの協業を模索している。
現段階での主な収益源はブランドの代理運営と株式投資によるもの。創業初年の今年は提携するスターの拡充に注力したが、2年目となる来年にはミニプログラムやアプリをローンチする予定。同社が提携するブランドを集めて、芸能人に特化したソーシャルECを運営していく方針だ。ベンチマークはファッション感度が高い女性をターゲットとした「小紅書(RED)」だという。
ただし、スターを看板としたビジネスには落とし穴もある。スキャンダルなどで本人のイメージが著しく失墜した場合に負の影響が大きいこと。また、「メイクの達人」「大食い」など、それぞれが固有の得意分野を持つインフルエンサーとは異なり、芸能人というだけでは特定の商品との結びつきが弱いこと、さらに、消費者の嗜好が細分化している中、「スター」という最大公約数的な看板がどれほどの効力を持つか、ということだ。
星鎮創業者の曹歓氏はEコマースやブランド戦略の分野で約10年のキャリアを持ち、VC「松源資本(SY CAPITAL)」の共同創業者、ジェット・リーとジャック・マーによる太極拳普及機関「太極禅(Taiji Zen)」の株主でもある。星鎮の従業員は32名だ。
(翻訳・愛玉)
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