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新型コロナウイルス感染症の流行以来、破竹の勢いを見せる越境EC事業に人々が注目するようになっている。このビジネスを行う事業者にとって、避けて通れないのがクロスボーダー決済だ。
クロスボーダー決済は取引プロセスにおいて最も肝要な部分だが、さまざまなリスクにさらされている。コンプライアンス違反による売上金の凍結、代金不払いや詐欺による損失といったリスクだ。
こうした中、2015年に設立された決済プロバイダー「Asiabill」は、海外クレジットカード利用時のリスクコントロールを行えるよう独立系ECサイトの事業者にサービスを提供している。現在、東南アジア、南米、欧州、ロシアなど世界の240種類以上のローカル決済方法が利用できるほか、VisaやMasterCardなどクレジットカードの主要な国際ブランドにも対応している。
すでに香港MSOや米国MSBなどの金融ライセンスを取得済みで、MasterCardのペイメント・ファシリテーターやAmerican Expressのペイメント・アグリゲーターとしての資格を備えている。
創業者の馮援氏の説明によると、Asiabillのメイン事業は2つの部分から成っているという。一つは基礎業務で、事業者の自社ECサイトに決済サービスを提供し、クレジットカード決済や海外のローカル決済手段に対応できるようサポートしている。
もう一つはリスクコントロールの分野で、コンプライアンスに関わるリスクと代金回収に伴うリスクが含まれる。例えば模造品を販売したことで著作権侵害に問われたり、必要なライセンスや認証を取得しないまま販売してコンプライアンス違反となったりすることがある。Asiabillではコンプライアンスチームを組織し、知識不足からそれと知らずに不法行為を行うことがないようサポートしている。
また詐欺に遭うなど商品の代金を回収できないリスクもある。詐欺に対しては、専門の決済チームを通じてリスク管理ツールを提供し、事業者が効果的にリスク管理できるようにしている。一方で発送が遅い、画像と実物があまりに違うなど、購入者がサービスに満足できず支払いを拒否するケースもある。このような問題に対しては、品質管理やサプライチェーン管理を徹底するよう事業者を促し、想定されるリスクを事前に知らせるなどして対策を行っている。
注目すべきは、Asiabillがビッグデータを活用したリスクのフィルタリングシステムとAI不正検知システムを含むリスクコントロールシステムを独自開発していることだ。
馮援氏によると、ビッグデータを活用したリスクフィルタリングシステムは主要カード会社や信用情報機関のブラックリストおよび詐欺データベースを導入して継続的に更新し、自社のリスク管理データと連係させてリスク分析モデルを構築しているという。AI不正検知システムはユーザーのデバイスフィンガープリント(DF)などの情報をリアルタイムで取得し、行動パターンに基づくユーザー像を作り上げて、高リスクの取引を識別、回避する。
ビッグデータシステムによる分析は、現地で多く利用されている決済手段を反映させるのにも役立つ。コンバージョン率を上げるため、比較的保守的な地域ではクレジットカード決済を、VRデバイスなどの商品カテゴリなら現地で主流の決済手段を最上位に表示するよう、システムがレコメンドしてくれる。
現在、Asiabillはオウンドサイト構築サービスのShopify、Shoplazza(店匠)、Shopline、Xshoppyなどと連携しており、これらのサービスを使って自社ECサイトを構築すると、Asiabillを通じた決済を選択することができる。サイト構築サービスを利用しない場合でも、技術サイドで導入することが可能。
今後、産業の川上に向かって発展を続けることが、クロスボーダー決済におけるコアコンピタンスになると馮援氏は考える。決済分野では、コントロール可能な範囲が広ければ広いほど、リスクへの対応力は強化される。「同じ条件下なら、リスク管理と高いコンバージョン率を両立させたサービスこそが優位に立てる」
(翻訳・畠中裕子)
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