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アップル製品の情報に詳しい米ブルームバーグのマーク・ガーマン(Mark Gurman)記者は先月、自身のニュースレター「Power On」で、アップルは引き続き複数のデバイスの同時充電を目指しており、短距離および長距離のワイヤレス充電ソリューションの研究にも取り組んでいるとの見解を発表した。
アップルは、自社製のデバイス同士が完全ワイヤレス方式で相互充電できるようにすることを構想しているという。実現すればiPadからiPhone、iPhoneからAirPodsに充電できるようになる。センサーを利用した同時充電を足掛かりに、完全ワイヤレス充電へと進化させていく可能性が高い。
アップルは、かなり早い時期からワイヤレス充電や同時充電に取り組んでいた。2017年にはiPhone Xと合わせて複数のデバイスを同時充電できるワイヤレス充電マット「AirPower」を発表したが、充電時の発熱など技術的な問題が解決できないことを理由に発売の延期を続け、19年には開発を完全に中止したと発表した。
ところがここ1、2年、複数のデバイスを同時充電できるワイヤレス充電器を開発し、新型スマホのセールスポイントとするスマートフォンメーカーが現れ始めた。小米(シャオミ)は昨年、最大20ワットの出力で3台のデバイスを同時充電できる充電マットを発表。今年3月に発売した。サムスンも昨年末、3台のデバイスを同時充電できる充電マットを発売。今年上半期には、同社が競合他社に先駆けて「AirPower風」のワイヤレス充電器を開発中だとの情報もリークされた。
アップルは世界をリードするスマホメーカーだ。2年前にAirPowerの開発は中止したが、ワイヤレス充電というまだ形になっていない市場を手放したわけではなかった。今回報じられたように、改めてワイヤレス充電ソリューションの開発計画を進め、IPhoneの競争力を上げようとしていると考えられる。
ワイヤレス充電の研究・開発が始まってずいぶん経つが、応用範囲は広がっていない。市場では、双方向充電の実現可能性と実用性が議論の的になっている。ワイヤレス充電は、スマホを充電コードの束縛から解放したが、活用シーンは限定されている。スマホの性能向上とともに増加する消費電力量への対応は、ワイヤレス充電に関する技術開発の中心となっている。完全ワイヤレス時代の到来を告げるのは、電力の送受信に関する問題を最初に解決したメーカーになるだろう。
(翻訳・田村広子)
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