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ベトナムでは、スマートフォンが普及する一方、政府はキャッシュレス社会化を実現しようとしている。人口9600万人のベトナムで、電子決済革命が始まろうとしているのだ。
ベトナムは国民の70%が35歳以下と若いため、デジタル社会にも早く順応できる。ハノイやホーチミンなどの大都市では、eコマースとモバイル決済サービスがすでに発達している。
ベトナム副首相兼外相のファム・ビン・ミン氏は今年10月「ベトナムではすでに金融機関78社がキャッシュレス決済サービスを提供しており、その他にも電子マネー会社が28社ある」と発表した。
ベトナム政府は2020年までに現金使用率を10%以下にするという目標を掲げており、中小都市でも電子マネーを使用することを推奨したり、年金を電子マネーで支給したりしている。
キャッシュレス化の椅子取りゲーム
現在、電子マネー界をリードしているのは「モモ(Momo)」だ。去年4月の時点ですでにSamsung PayやPayPalを超える勢いだったという。
ベトナムには27社の決済代行会社があり、そのうち20社が電子マネーを提供している。
電子マネーを扱う企業の収益源は主に2つだ。一つは売り手側から徴収する手数料。もう一つは消費者や金融機関に対してローンを提供するなど付加価値サービスからの利益だ。また電子決済によって、顧客の位置情報や消費習慣など大量のデータを収集し、こうしたデータを企業に販売することもできる。
キャッシュレス化の利点
ベトナムでは国民の31%しか銀行口座を有していない(世界銀行の2017年のデータ)。残りの69%は、クレジットヒストリーがないため、ローンなど銀行が提供する様々なサービスを受けることができない。そもそも、地方の農村などでは銀行がない地域も多い。「Ononpay」はこうした地域の銀行口座を持たない人々に対して、電子マネーアプリを使った公共料金の支払い、銀行ローン申込などの付加価値サービスを提供している。
キャッシュレス化のメリットは利便と効率の向上だ。数秒で支払いが完了し、利用履歴で毎日の支出を確認することもできる。また、電子マネーを扱う企業のポイント還元や優待サービスなど様々な特典を享受できる。今のところ、映画チケットから航空券予約まで様々なシーンでスムーズに利用できるモモが市場をリードしている。
ベトナムの「キャッシュレスドリーム」
ベトナム政府はキャッシュレス社会を目指していると前述したが、その道のりはまだ長い。
Ononpayの創設者・ Syphong Bui氏は「電子マネー市場は急激に発達しているが、決済に伴う付加価値サービス収入を確保しなければ、一部の電子マネー取り扱い企業は継続が厳しいだろう」と指摘する。
ベトナムの電子マネー利用者については、「1000万人は超えていない」と推計されている。1億人近いベトナムの人口からすると、わずかな人数だ。
電子マネー取り扱い企業は、利用したことがない人々にキャッシュレス決済のメリットをPRするとともに、既存ユーザーの囲い込みにも力を入れている。電子マネーの普及率を上げるためには、電子マネーが現地の人々の日常生活に入り込むことが鍵になる。
翻訳:雪希
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