これから期待のフィリピンで注目すべきスタートアップ企業

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

投資注目記事

これから期待のフィリピンで注目すべきスタートアップ企業

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

6億4000万人もの人口を抱える東南アジア。その巨大な消費潜在力、すなわちテック企業の急速な発展を支える土壌が、新たなユニコーンを狙う多くのベンチャーキャピタルを惹きつけている。

シンガポールベンチャーキャピタル&プライベートエクイティ協会(SVCA)のデータによると、2018年1~8月、東南アジアのスタートアップが調達した額は過去最高の31.6億ドル(約3440億円)を記録。8カ月間で2017年の1年間よりも16%増加した。

それにもかかわらず、フィリピンの状況は異なる。2018年通年で、フィリピンではスタートアップへの投資案件が7件しかなく、その前の2年間よりも減少。また、調達総額も5000万ドル(約55億円)未満となっている。

ただし、2019年に状況が一変する可能性はある。例えば、シンガポールのVC「Golden Gate Ventures」はフィリピンのスタートアップへの投資に積極的だ。同社のパートナーJustin Hall氏は「フィリピンの現在の起業環境はそれほど良くないが、大きな潜在力は持っている」と述べる。

同氏は2018年3月にもフィリピンのメディアに「初めのうちはフィリピンで投資に値する企業をあまり発見できなかった。しかし、ここ半年で過去6年間の合計よりも多くの投資対象を見つけることができた」とポジティブな変化に喜びを見せた。

また、中国の「GOBI PARTNERSs(戈壁創投)」は「CORE CAPITAL(元石資本)」と共同で1000万ドル(約11億円)規模のファンド「Gobi-Core Philippine Fund」を創設。BtoB電子商取引、PaaS、メディテック、物流の分野でフィリピンのスタートアップに投資をしており、将来的には旅行、エンターテインメント、リテールテックなどにも範囲を拡大する方針だ。

2018年に実施された、フィリピンのスタートアップへの投資案件は以下の通り。

1)オンデマンド物流サービス企業「Mober」
「Mober」は設立2年目にフィリピンの物流最大手「2GO group」から資金を調達した(調達額は非公開)。Moberによると、調達資金はアプリの改善、業務内容の拡大に投じられるという。2015年に設立された同社は「物流界のUber」とも呼ばれており、ユーザーはアプリを通じてトラックを予約して貨物を指定の場所に配送できる。マニラ、ラグナ州、ブラカン州でサービスを展開している。

2)不動産プラットフォーム企業「QWIKWIRE」
「QWIKWIRE」は越境不動産デベロッパー。2018年2月に40万ドル(約4400億円)の調達に成功し、海外業務を拡大させた。本件は「First Asia Venture Capital」および「Cerebro Labs」が主導した。同社はこれに先立ち、「500 Startups」「JFDI(JOYFUL FROG DIGITAL INNNOVATION)」「MANILA ANGEL INVESTORS NETWORK」から計46万ドル(約5000億円)を調達した。

3)レンタカープラットフォーム「Graventure」
フィリピン出身のプロボクサー、マニー・パッキャオ氏も出資した「Graventure」。地元のテック企業にパッキャオ氏が初めて出資した案件でもある。Graventureはレンタカーの予約・管理業務の簡素化、自動化を行うプラットフォームで、レンタカー代理店と消費者をつなぐワンストップサービスを提供している。

4)HRテクノロジー企業「sprout solutions」
2018年4月に「sprout solutions」はシードラウンドで160万ドル(約1億7500万円)を調達した。本件は「KICKSTART VENTURES」が主導し、「wavemaker PARTNERS」も参加した。 2015年に設立された同社は、すでに200社以上の法人顧客を抱えており、その中にはフィリピンの大手企業も含まれている。

5)エデュテック企業「Edukasyon.ph」
2015年に設立された「Edukasyon.ph」は、2018年5月にシリーズPre-Aで資金調達に成功。出資者は「KSR Ventures」や「French Partners」などで、調達額は明らかにされていない。調達資金はフィリピン各地での業務拡大、新たな市場開拓、データ統合などに充てられるという。

6)医療サービス企業「AIDE」
家庭医療プラットフォームの「AIDE」は「AC Health」から投資を受けた。AC Healthはフィリピン最大のコングロマリット「アヤラ・コーポレーション」の子会社だ。利用者は、AIDEアプリを通じて医療専門家を予約して、自宅で医療サービスを受けることができる。

7)ライブ配信アプリ「kumu」
2018年2月にローンチした「kumu」は、シードラウンドで120万ドル(約1億3000万円)を調達した。リードインベスターはフィリピンの出版最大手「Summit Media」。米国や中国などではライブ配信およびコンテンツビジネスは投資家に人気の分野で、Kumuは東南アジアのトップランナーのひとつだ。
(文・Kr Asia、Mars Woo)
(翻訳・飯塚竜二)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録