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ショート動画アプリ「TikTok(抖音)」総裁の張楠氏の発表によると、2019年1月時点でTikTokのデイリーアクティブユーザー(DAU)は中国国内で2億5000万人を突破し、月間アクティブユーザー(MAU)は5億人を超えた。「新浪微博(Weibo)」の2018年12月の発表では、微博のDAUは2億人超、MAUは4億6400万人だった。つまり、TikTokの現在のトラフィックは既にWeiboを上回っていることになる。
過去2年間にWeiboなどのプラットフォームで成長したMCN(マルチチャンネル・ネットワーク)では、業界上位の一部企業による寡占が進みつつある。微博はすでに自社の広告リソースをトップMCN十数社に委託していると言われており、中小規模のMCNが爆発的に成長することは不可能に近い。
しかし、TikTokの場合は事情が異なる。独自のコンテンツ推奨アルゴリズムを重視し、大手MCNを偏重することなく、人気コンテンツとトレンドを常に変化させている。1日で数万フォロワーを増やす新アカウントが次々に登場するため、動画制作者は常に新鮮な高品質コンテンツを投稿する。さらに2018年10月、TikTokはMCNやネットタレントを束ねて広告主とマッチングするコンテンツマーケティング・プラットフォーム「星図(Shine Tour)」を正式にローンチ。新興MCNでもビジネスチャンスを見つけやすい環境を整えた。
TikTok生まれのMCN「看看世界」は、1年で1億人以上のファンを獲得
「看看世界(ShowWorld)」はTikTokで大きく育ったMCNだ。2017年7月からTikTokでのタレント育成に特化し、2019年1月には星図の年間最優秀MCNに選ばれた。他に同賞を受賞したのは、ほとんどが微博で数年の経験を有する大手MCNだった。
創設者の李琪縁氏は「看看世界が先行大手に追いつくことができたのは、もともとTikTokから生まれたMCNであり、TikTokコンテンツのリズム感を知っているからだ」と語る。微博での成功モデルをひな形とするMCNがTikTokに進出するには、コンテンツを調整し適応するための時間が必要なのだという。
李氏は、2016年にライブ配信プラットフォームでフィットネスインストラクターや弾き語りシンガーなどの人気ライバーを発掘して契約。何十万人ものファンを集めたが、ライブ配信ではファンとの関係を維持するためのコストが高すぎることに気づき、2017年にショート動画へ移行した。当初、あらゆるプラットフォームにコンテンツを配信したところ、TikTokのフォロワー獲得がずば抜けて速かったため、TikTokへの投資を増やしたという。
独自のタレント育成システム
看看世界は、コンテンツを制作する専属プロデューサーのチーム、クリエイター発掘やキャリア開発などを担当するタレントマネジメントのチーム、そしてさまざまなビジネスとのコラボレーションなどを管理するビジネスマネジメントのチームを擁する。
現在、演技、ダンス、歌、フィットネスなど、各分野のクリエイター約70人と契約。そのうち6人は専業で、この6人が擁するフォロワーの総数は1億人を超える。
李琪縁氏は「TikTokのコンテンツ推奨システムのおかげで、コンテンツを拡散するために費用をかける必要がない。全資金をコンテンツ制作に投入できる。今後も高品質コンテンツの制作に注力する」と語る。また「TikTokの商業化が進んでおり、今年はTikTokに特化した会社が多数登場するだろう」とも述べた。
連続起業家の李琪縁氏はこれまで、エリアガイドアプリ「城覔(chengmi.com)」、微博のソーシャルショッピングコミュニティ「楽啊網(Looa.com)」などを設立したほか、IT系ニュースポータル「天極網(Yesky)」の編集長兼総経理を務めたこともある。
看看世界は、既に新ラウンドで資金調達していると伝えられている。
(翻訳・神江乃緒)
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