クラウドサービス向けMarTech企業「FORK AI」が資金調達。開発者のニーズを的確に把握し、集客効率を向上に

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MarTech(マーテック、マーケティングにIT技術を活用すること)分野でクラウドサービス事業者向けにインテリジェントな集客支援サービスを提供する「FORK AI」が、プレシリーズAで緑洲資本(Vitalbridge Capital)から数千万元(数億円)を調達した。

企業や個人のソフトウエア開発者は特定の機能を自身で開発するほか、一般的な機能にはオープンソースや有償のSDK(ソフトウエア開発キット)を使うことがある。

SDKとは、ソフトウエア開発に必要なプログラムやAPI、文書などをまとめたパッケージツールを指す。ソフトウエア開発者は既存機能の重複開発を避け、開発サイクルを短縮するために第三者のSDKをインストールして利用する。

例えば下図のように、ソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」はテンセント(騰訊)のSDKを3つ使って開発されている。うち「騰訊 QQ」と「騰訊微信」はテンセントのメッセージアプリ「QQ」や「微信(WeChat)」のアカウントを流用した小紅書へのログインを可能にし、「騰訊 Bugly」にはアプリのバグを監視する機能がある。

画像:「Fork Stack」の紹介サイトより

FORK AIがクラウドネイティブの汎用型SaaSとして開発したインテリジェント集客エンジン「Fork Stack」は、クラウドサービス事業者向けの集客ソリューションだ。創業者の何李石氏はかつて、中国のクラウドサービス事業者「七牛雲(Qiniu Cloud)」でプロダクトマネージャーやカスタマーサクセス部門の責任者として営業を支援した際、一般的なセールスファネル(見込み客を段階的に顧客化していく手法)や、営業担当者と顧客側の技術担当者の間に存在する技術的な認識の食い違いがクラウドサービス事業者の集客効率化を妨げていると感じていた。

クラウドサービス事業者の集客では一般的に、SEM(検索エンジンマーケティング)やDSP(広告効果最適化プラットフォーム)を使った広告でセールスリード(見込み客)を獲得し、営業担当者がCRM(顧客関係管理)によって顧客化の可否を判断している。だがこのやり方は、判断の精度が劣れば人的資源の浪費と営業効率の低下を招く。

技術的な認識の食い違いとは、クラウドサービスは技術的に複雑なため、営業担当者が顧客となる開発者のニーズを正確に把握できず、的外れな提案をしてしまうことだ。

こうした課題に基づき、Fork Stack はデータマイニングとアプリに使われているSDKの構成やAPI(アプリやソフト同士の連携機能)の変更状況を分析することで、クラウドサービス事業者と開発者の技術的な認識の食い違いを解消する。その結果、クラウドサービス事業者は開発者のニーズを的確に把握し、集客効率を上げられるという。

Fork Stackは5大アプリケーションストアで配布されたアプリを網羅しており、ある企業が開発を主導したアプリの本数、アプリストアごとのリリース状況、アプリのSDK構成、SDKの管理者に加え、SDKの使用状況も可視化できる。

何氏は「このモデルは的確な集客ができることに価値がある。クラウドサービス事業者は、大量のリードを250万人の開発者が大手アプリストアで配布した800万本以上のアプリに絞って集客が可能になる」と話す。

また「従来のセールスファネルによる集客とは異なり、FORK AIは市場で唯一の標準化されたプロダクトによってクラウドサービス事業者の集客効率を向上させられる」と説明した。

FORK AIの収益源はSaaSの利用料だ。企業向けカスタマイズサービスではデータ量に応じて利用料を課している。
(翻訳・大谷晶洋)

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