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建設ロボットの開発・製造・運営を手がける「領鵲科技(Lingque Technology)」が今年3月、シリーズAで約1億元(約20億円)を調達したことがわかった。出資を主導したのはIDGキャピタルで、既存株主のAtypical Venturesも参加した。調達した資金は主に製品の開発・製造と商用化推進に充てる。
領鵲科技は昨年1月に設立され、建設ロボットをまず外装・内装工事に導入させている。最初の製品は塗装工事の全プロセスに対応するパテとエマルジョン(乳濁液状の塗料)両用の塗装機だ。昨年10月に商用化され、現在までに10万平方メートルを超える施工現場に導入されている。今年は100台以上の生産を予定し、不動産物件所有者やゼネコンにサービスを提供すると同時に、塗装以外の工程に向けた製品にも手を広げ、建設ロボット製品のラインナップを充実させていく。
創業者でCEOの張志祥氏は、建設現場の複雑さや費用対効果を総合的に考慮すると、外装・内装工事は全施工プロセスの中でも比較的独立しており、ロボットを用いたトータルソリューションをより構築しやすいと述べる。
そこで領鵲科技はパテやエマルジョンの塗装工程から着手した。張CEOはその理由を3つ挙げている。1つ目は塗装業は就業環境が劣悪で人材の高齢化も深刻なことから、ロボットでの代替が比較的強く求められていること。2つ目は塗装工事は完全に独立した工程として切り分けて発注できること。3つ目は中国全体で90億平方メートルになる住宅物件と、施工面積1平方メートルあたり50元(約1000円)の人件費から計算すると、その市場規模が4500億元(約8兆7800億円)を超えることが調査で判明したことだ。
領鵲科技のパテ・エマルジョン両用塗装機なら、利用料は塗装作業員にかかる人件費の6割ほどで済むという。さらに人による作業は技術にバラつきがあるが、ロボットを使えば作業は均質化でき、さらに質を上げられる。また、ロボット1台で作業員5人以上のパフォーマンスが発揮できるという。
昨年起工したある集合住宅建設プロジェクトを例に取ると、同等の作業量を要する施工現場で、ロボット3台と操作人員4人を投入した現場では作業完了までの時間は41日、作業員15人を投入した現場では52日かかったという。ロボットを投入した場合の作業効率とコストの優位は明らかだ。
建設ロボット産業に参入する企業にとって、技術力は往々にして壁になる。中でもソフトウェアアルゴリズムの開発費用は一般的に費用全体の7割以上を占め、初期投資が比較的多くかかる。建設ロボット産業への参入企業が少ないのはこれが理由だ。反対に、ある企業がソフトウェアアルゴリズムの開発に一定の費用を投じ、データを積み上げてアルゴリズムをブラッシュアップすれば、容易に市場を総取りできるのだ。
領鵲科技の建設ロボットが持つ競争力の一つは、業務フローにぴったり沿った高度な自動化技術だ。同社はこれまでに施工業務の計画と識別、測位とセンシング、意思決定と計画、運動制御と製造技術に関するソフトウェアやハードウェアの構築などロボットの自動化技術を蓄積してきた。三次元点群をベースとした建築物の復元やセマンティック(語義)抽出技術、複雑な環境での機械認知や高精度レーザー測位技術、スキッド(空回り)判定・再測位・高速補正技術、各種アラートや高精度なサーボ制御技術などがこれらに含まれる。
領鵲科技が実施した試験や技術検証によると、同社のパテ・エマルジョン両用塗装機は本体が小型化されたことと塗装幅が変更可能なことで95%の塗装現場に対応し、再測位の精度はプラスマイナス10mm以内を保証。動的な環境や複雑な環境でも、人による作業よりはるかに安定した稼働が可能だ。
同社は主に物件所有者やゼネコンに施工サービスを提供するほか、施工業者への製品リースを通じてフランチャイズも展開している。
張CEOは北京航空航天大学でロボット工学を専攻し博士号を取得、ソフトウェアアルゴリズムのシステムや製品開発で豊富なキャリアを有している。従業員のうち半数以上が開発人員で、中核メンバーは清華大学、ハルビン工業大学、北京航空航天大学などを卒業、建設ロボットメーカー「博智林機器人(Bright Dream Robotics)」、ロボット掃除機メーカー「科沃斯機器人(Ecovacs Robotics)」、建設機械レンタル業「衆能聯合(Zhongneng United)」、スマートホームを手がける「好享家(Hosjoy)」などでキャリアを積み、製品の開発段階から実用化までのフルプロセスを経験している。
(翻訳・山下にか)
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