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最近、中国ではScience(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEAM教育」がブームだ。このため、AIロボットや、子供向けプログラミング、メーカーコンテストを扱う企業が多数出現している。
業界に対する期待が高い一方で、多くの企業が似たような商品に収束しつつもある。そのような状況で、独自の強みを生かし市場での影響力を拡大する方法について、「奥松智能(Aosong Zhineng)」の創業者(脚注)、于欣龍氏に聞いた。
知育玩具、教育図書からコンテスト、ロボット部品供給まで
奥松智能は、さまざまなイベントを通じてAI教育の理念を普及させる一方、各年齢の消費者のニーズを満たす多様なAI知育玩具とプログラミングツールソフトウェアにレッスンカリキュラムを組み合わせた包括的な教育ソリューションを提供している。
ハードウェアについては、奥松智能傘下のブランド「奥松機器人(ALSROBOT)」からAIプログラミングロボットなどさまざまな商品を発売している。ロボット製品キットや拡張コンポーネントなども揃え、初心者レベルから専門レベルのアプリケーション開発製品を提供する。
コントローラー、センサーから通信モジュールにいたる同社の電子部品は、IoT、物流ソーティングシステム、音声認識など企業の業務にも応用できる。現在はエレベーターメーカー、衣料品加工などの企業多数に製品を供給しており、プラスチック製の知育玩具を手掛ける上場企業「邦宝益智(Banbao)」とも戦略的パートナーシップを結んでいる。
ソフトウェアの面では、様々なプログラミングアプリを多数発表しており、ソフトウェアとハードウェアの相互作用をAIロボットによって実現している。たとえば、「CooCoo」と名付けられたAIプログラミングロボットは、さまざまなシーンでロボットの操作プログラミングを行うことができる。
さらにECプラットフォームを構築し、米国「Sparkfun」やイタリアの「Arduino」などをはじめ英国や韓国など各社のロボット製品やアクセサリーを中国国内向けに販売している。
ハードウェアとソフトウェアの組み合わせに加え、コンテンツ制作も同社のビジネスの大きな特徴だ。
1)オンラインコミュニティ:動画学習サイト「秀創客(Super Maker)」やコミュニティ、フォーラムなどオープンソースの情報共有プラットフォームを通じて、ユーザーがオンラインで情報交換できるエコシステムを構築している。
2)自社編集教材およびカリキュラム:米国「Computer Science Teachers Association(CSTA)」のカリキュラムCSTA K12とSTEAMという教育理念を組み合わせ、各年齢に合わせた4種類の段階的なコースを提供する。さらに、自社編集のプログラミング関係の教育書を50冊以上出版している。
3)科学イノベーションイベント:子ども・学生向けのキャンプや科学PRキャンパスイベントなどの活動を通じて、科学イノベーションの概念を若い世代に広めている。
奥松智能の今後の開発戦略とAI教育の今後の動向について、于欣龍氏は次のように述べている。
1)市場の広がり:AI教育製品の現在の主な顧客層は一~二級都市に住むユーザーだが、STEAM教育の人気と人工知能への注目度により、今後は徐々に三級および四級都市に広がっていくだろう。
2)ユーザーの多様化:当初はK12(幼稚園の年長から高校を卒業するまでの13年間)が中心だったが、その後6歳以下の幼児や大学生にまで市場は広がっている。AI教育の消費者グループは多様化し続けるだろう。
3)産業チェーンの統合:上流の「コアコンポーネントの自社開発と生産」、中流での「リソースをとりまとめて行う二次開発」、そして下流での「教育訓練と販売の一体化」というそれぞれの能力が奥松智能の強みだ。将来的に教育用ロボットハードウェアにおいてコスト優位性と製品競争力を維持していくためには、産業チェーンの上流と下流の統合と協調が鍵になる。
(脚注)
奥松智能は青少年向け人工知能科学イノベーション教育サービスのために創設された新しいブランド。傘下の奥松機器人は于欣龍氏がハルビン工程大学在学中の2009年に立ち上げた会社で、中国で最も早く教育用ロボットの販売に携わった企業の一つ。設立から10年の間にエンジェルラウンドで1千万元(約1億6千万円)レベル、プレシリーズAで投資会社「遠瞻資本(LightHouse Capital Management)」から数千万元の資金調達を行った。同社は2016年に日本の店頭公開にあたる新三板市場に上場している。
(翻訳・神江乃緒)
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