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2016年3月に創業した香港のフィンテック企業「橋彼道(Qupital)」が、シリーズAで1500万ドル(約16億5000万円)を調達した。リードインベスターの「宜信金融科技産業投資基金(CreditEase)」や、コ・インベスターのアリババグループの起業支援ファンド「香港創業者基金」とベンチャーキャピタル会社MindWorks Venturesが出資した。
今回の資金調達は、主に中国本土の市場開拓、技術開発の拡大、リスクマネジメントチームの強化、越境ECサプライチェーン向けのファイナンスサービスの構築が目的である。同社はワンストップ式ファイナンス・プラットフォームを通して、越境EC企業や中小企業にキャッシュフローの最適化とスピーディーな業務拡大のサポートを提供している。
具体的には、Qupitalはオンライン上のプラットフォームから、中小企業にファクタリング(売掛債権による資金調達)や仕入れ資金の調達などの金融サービス等を提供している。初回の場合、審査期間は通常3~7日。その後、その企業が売掛債権に関する書類をプラットフォームにアップロードすると、同社は、仲介役として売掛債権を買い取る企業を探し、買取りを希望する企業は、プラットフォーム上で行われる、売掛債権の割引率による競売に参加する。
取引が成立すると、Qupitalは24時間以内に売掛債権額面の80~95%の資金を企業に貸し付け、取引費用として0.25~0.75%を受け取る。また、買取企業が全額支払った場合、Qupitalは差額のうち2割を手数料として徴収する。
Qupitalの現在の主なターゲットは、EC、輸出業、製造業、代理販売、サービス業など多岐にわたる上流~下流のサプライヤーやECプラットフォームといった香港の越境EC企業である。また、現在、資金源に関しては、Qupitalのプラットフォームからファミリーオフィス(富裕資産家の資産運用組織)やヘッジファンド等にアクセスできる。
従来のファクタリングサービス等のノンバンク融資と比べ、Qupitalのメリットは、担保が不要であるという点と、基本的に24時間以内に最大で売掛債権額面の90%の金額が受け取れるという点だ。譲渡が成功すれば別途コストが発生しないという点も魅力といえる。
共同創業者である黄永東氏によれば、ターゲットを越境EC市場に絞った点がQupitalの大きな強みであるという。黄氏は「香港や中国本土の企業にとって、越境ECは比較的新しい市場で、多くの関連企業が資金を必要としている。しかし従来型の金融機関はまだ動向を見守り、模索する段階にあるため、Qupitalには先発優位性がある」と語る。
2018年、Qupitalはアリババグループと戦略業務提携を結び、EC化を目指すB2B企業向けのサービス拡大を目指している。また、アマゾンやeBayといったECプラットフォームにもサービスを提供している。
リスクマネジメントに関しては、中小企業の財務諸表、銀行取引明細書、違約情報、最近の取引状況等を確認しているほか、保険会社や海運会社といった第三者のデータを用いた検証を行い、取引の信頼性を確保している。
Qupitalが扱った取引件数はすでに8000件を突破した。1回あたりの平均金額は8~10万ドル(約880~1100万円)で、取引総額は20億香港ドル(約280億円)にのぼる。取引規模は2017~2018年で10倍以上に拡大した。
現在Qupitalは50人以上のチームスタッフを抱え、中心メンバーはファクタリング会社、商業銀行から技術開発職まで様々なバックグラウンドを持つ。
(翻訳・桃紅柳緑)
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