鍵はトラフィック量 SaaS型チケットシステムCHUMI

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米国チケット販売会社チケットマスターにほぼ独占されている世界のイベントチケット販売市場に、興行主が自らチケットを販売できるSaaS型サービスがシェアを獲得できるチャンスはあるのだろうか?

チケットビジネスは販売と二次流通(再販)に分けられ、いずれも国内外で成熟した市場を形成している。世界市場を見ると、チケット販売市場は古参のチケットマスター社がシェアの大半を握り、二次流通はeBayに買収された米スタブハブ社が圧倒的な影響力を持っている。しかし、以下の問題点について、この2社は有効な解決策を見出せておらず、興行主に直販システムSaaSを提供するスタートアップがこのチャンスを狙っている。

1. データ分析サービスの不足:興行主向けにデータ分析を行うサービスは少ない。イベントのペルソナが把握できず、興行主が過去の経験だけを頼りに興行の実施及び宣伝を行うため、コストが高く資金不足に陥るリスクがある。

2. 資金回収期間が長い:従来型のチケットビジネスの場合、販売仲介業者が興行終了までチケット代金を預り、興行主が回収するまでに約6か月の期間を要するため、興行主のキャッシュフローに大きな負担を掛ける。

3. 偽造チケットのリスク:世界のチケット市場には平均12%の偽造チケットが出回っている。しかし、既存のシステムではチケット販売後の譲渡状況や取引価格を把握するのは難しく、チケットの複製を防止する術もない。

こうした世界市場を背景に、SaaS型チケットシステムCHUMIが誕生した。同システムでは購入者データの不足、高額な仲介手数料、偽造チケットといった問題を解決するため、興行主自社ブランドの利用、クローズド・ループ方式のデータ制御、チケット暗号化などのワンストップソリューションを提供している。興行主はスピーディにチケットの販売やデータ追跡もできる自社ブランドのWebサイトやチケットシステムが構築できる。

さらにCHUMIは興行全体のROI(投資収益率)を予測できる産業レベルのAIを導入し、外部投資家向けにリスクマネジメントサービスを提供することも計画している。ROIは、過去の公開データを基に類似会場のチケット販売状況の分析やアーティストの人気指数の比較、さらにSaaSの累積データとの照らし合わせにより算出される。

偽造チケット対策は、電子チケットの複製を防止するセキュリティロックを採用した。暗号化したチケットをデジタルエンベロープで送信することで、チケットはセキュリティ保護されたまま自由に譲渡でき、また興行開始2時間前までは開封できないようロックされる。

チケット販売に不可欠なのは、販売プラットフォームと興行主である。チケットマスター社の強みは販売プラットフォームを保有するという点だ。一方、CHUMIは業界トップの興行主との協力によって、トップアーティストが擁する膨大なトラフィック量という強みを発揮し、仲介業者の力を借りずに興行主がチケットを直販できるようにサポートする。

CHUMI創業者の李頤韜氏によれば、2018年9月のサービス開始後、2018年の売上高は48万ドル(約5280万円)だったが、2019年は現時点ですでに1200万ドル(約13億2000万円)を売り上げているという。顧客には北米最大の華人興行主や北米最大の韓国興行主が含まれており、ジェイ・チョウやジャム・シャオ等の有名アーティストが所属している顧客企業もある。収益モデルは取引手数料と月額利用料の徴収で、ビジネスデベロップメントによる市場開拓を行っているが、まだ専門のセールスチームはない。

CHUMIはシリコンバレーとトロントに拠点を置き、現在出資者を探しているという。
(翻訳・桃紅柳緑)

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