中国ソーシャルEC「小紅書(RED)」、評価額200億ドルにも上場の見通し不透明

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人気ソーシャルECプラットフォーム「小紅書(RED)」の楊若・元CFOがこのほど退職し、コングロマリット「復星集団(Fosun Group)」に転職したことがわかった。同氏はカリフォルニア大学バークレー校を卒業、シティグループの投資銀行部門でアジア・太平洋地域の取締役総経理を務めたほか、大手国際会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)やプライスウォーターハウスクーパース(PwC)で勤めた経験がある。2021年3月に小紅書に入社し、CFOとして財務戦略の策定、財務管理および内部統制を担当した。

小紅書は2013年に設立され、中国最大級のEC機能付きのコンテンツ共有プラットフォームだ。インターネットデータ分析会社「Quest Mobile」によると、小紅書のDAU(1日当たりのアクティブユーザー数)は2020年の2000万人から現在では6500万人に増加し、MAU(月間アクティブユーザー数)は約1億6000万人に達した。

小紅書はこれまでに資金調達を7回実施し、21年11月に実施した直近のシリーズEではIT大手のテンセント(騰訊控股)、シンガポールの政府系投資会社「テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)」などが出資を主導し、IT大手アリババなども出資に参加した。調達額は5億ドル(約720億円)で、このシリーズEを経て小紅書の評価額は200億ドル(約2兆8900億円)に達した。

CFOの転職には上場の噂がつきものだ。楊氏が小紅書に入社後、上場の噂が頻繁に伝えられた。

2021年4月、ロイター傘下の「International Financing Review(IFR)」が小紅書は年内に米国でIPOを実施し5~10億ドル(約720~1450億円)を調達する計画だと報道。消息筋は、小紅書は米国上場を秘密裏に申請したとの認識を示した。同年7月、ブルームバーグは小紅書が上場場所を米国から香港に変更して少なくとも5億ドル(約720億円)調達する計画だと報じたが、小紅書はこれを否定した。さらに10月、ブルームバーグは小紅書が米国上場計画を棚上げし、早ければ21年に香港でIPO申請をすると報じた。

今回のCFO退職は、小紅書の上場計画がなお不透明であることの裏付けかもしれない。問題の一つに、中国でインターネット企業の海外上場に対する監督管理や政策が厳しさを増していることがある。今年1月に新たに改正された「サイバーセキュリティ審査弁法」は、ユーザー100万人以上の個人情報を保有するプラットフォームの運営者が海外で上場する場合、サイバーセキュリティ審査弁公室にサイバーセキュリティ審査を申請するよう求めている。小紅書は1億人以上のユーザーを抱えており、2021年7月にはコンテンツに問題があるとして中央サイバーセキュリティ・情報化委員会弁公室から事情聴取を受けていた。

また、2020年末には米国で「外国企業説明責任法」が発効し、米国で上場する企業は米国証券取引委員会(SEC)に会計監査の資料の提供が求められるようになった。3年連続で提供しない企業に対しては、PCAOB(公開企業会計監視委員会)が上場廃止を求めることができる。そのため、米国で上場した中国企業が次々と上場を廃止した。IT大手のアリババや網易(ネットイース)、EC大手「JDドットコム(京東集団)」や「拼多多(Pinduoduo)」を含む半数以上の米国上場の中国企業が上場廃止予定リストに名を連ね、中には小紅書のようなコンテンツ共有プラットフォームを運営する「ビリビリ動画(Bilibili)」や「知乎(Zhihu)」もあった。一部の企業は香港での上場にシフトしており、2018年3月に米国で上場したビリビリ動画は21年3月に、21年に米国で上場した知乎は今年4月に香港で上場した。

小紅書のもう一つの課題は収益性だ。小紅書のユーザーはコロナ禍でも増加したが、売り上げの80%以上を広告に頼る構造を市場は懸念している。同社のEC事業はまだ初期段階にある。小紅書もアウトドア、シティーライフなどの地域密着型サービスや有料コンテンツ含む仮想商品など他の収益獲得の道を模索している最中だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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