36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
2021年以来、世界的なエネルギー変革の需要やコロナ禍の影響による移動手段の多様化、企業の海外進出の加速などによって、スマート電動バイクに代表される短距離移動向け電動モビリティ業界にも大きなチャンスが訪れている。
電動バイクブランド「藍鯊(Blueshark)」を展開する「鯊湾科技(Sharkgulf Technology )」はこのほど、シリーズAで数千万ドル(数十億円)規模の資金を調達した。出資を主導したのは麦星投資(Maison Capital)で、調達資金は開発チームと生産能力の拡充、東南アジア市場の事業展開とエコシステム構築の加速に充てられる。
2018年に設立された鯊湾科技は、グローバル市場向けにミドル・ハイエンドのスマート電動バイクの開発、生産、販売を手掛ける。中国企業はグローバル市場において成熟したサプライチェーンという強みを持つが、異なる地域の市場でどのように現地の特性を見つけ、消費者のさまざまな嗜好にブランドイメージを合わせるかが課題となる。
同社は性能とタイプに応じて「S」「H」「A」「R」「K」というシリーズ製品を展開し、24年までに電動バイクの製品ラインナップを完成させる見通しだ。すでにスクータータイプのRシリーズを発表し、欧州、韓国、東南アジアに進出しており、この3地域に開発会社、販売会社、運営・管理会社やオフィスを設けている。
スマート電動モビリティ業界では他の消費者向けハイテク製品に比べ、ブランド自体への技術的な投資が多く求められる。自社開発を貫く鯊湾科技は自動車向け技術をもとに、初めて自動車グレードのスマート集中制御システム・アーキテクチャを二輪車に応用した。
例えば、第一世代の「デュアル電子制御ユニット(ECU)+CANバス」を「動力制御域+システム制御域の2領域制御アーキテクチャ」にバージョンアップした。動力制御域はモーター制御のMCU(マイクロコントローラ)、バッテリーマネジメントシステム、エネルギー配分管理などが含まれ、車両走行のコア制御域として乗り心地やエネルギー効率を最適化する。エネルギー配分管理とは同社独自のエネルギー配分方法で、1つもしくは2つのバッテリーを使うだけでなく、出力の異なるバッテリーを組み合わせて使うことも可能とし、バッテリー交換を技術的に支えるものだ。
車全体のマンマシンインタラクションを担うシステム制御域は、大画面集中制御システム、車載インフォテインメントシステム、ドライブレコーダー、メディアストリーミング、運転ビッグデータなどを管理し、個人のスマートデバイスとの通信およびミラーリングを可能にする。
同社はバッテリー、モーター、電子制御が一体化された電気駆動システムとスマート制御システムのコア技術を有し、スマートバイクのオペレーションシステム「ArkRide OS」を開発した。今後は11億元(約230億円)を投じて山東省青島市の青島西海岸新区に同社初の「藍鯊スーパー工場」を建設し、製品のフルスタック開発とコア部品の自社生産を目指す。また中国本社に加え、スマートバイク・イノベーション研究所と小型モビリティ産業イノベーション基地を設立することで、開発と生産の結びつきを強めようとしている。
構想によると、同スーパー工場は原材料から最終製品までが一体化された生産ラインとなり、車両の組立作業場、全自動の車台生産設備、環境に配慮した塗装作業場に加え、モーター、バッテリーパック、車載スマート制御システムなどコア部品の生産設備も設けられる。23年末の操業開始が予定され、年間生産能力は電動バイクが100万台、コア部品が200万点に上る見込み。
今年8月時点で、同社は世界で累計211件の「専利(特許、実用新案、意匠の総称)」を出願しており、向こう2年以内に出願件数は累計1000件を超える見込みだという。
(翻訳・大谷晶洋)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録