原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
IT専門調査会社IDCの最新データによると、テンセント(騰訊)の国内クラウド市場での順位は2位だ。国内に安定した地位を築き、昨年から海外進出を加速している。
テンセントクラウド(騰訊雲)副総裁の答治茜氏によると、2019年の目標は海外事業で前年同期比5~6倍の売上を上げることだという。
答氏はテンセントクラウドが海外進出を選択した理由について、まず、重要顧客であるゲームメーカーに海外市場開拓のニーズがあり、テンセント自身も多くの事業を海外展開していることを挙げた。
次に、テンセントの多くの顧客が、中国国内での競争環境は海外より過酷であり、激化していると考えていることを挙げた。国内と海外両方の市場を選ぶベンチャー企業は多い。海外での競争は国内より容易だとして、直接海外市場に乗り出すベンチャー企業もある。中国の市場は大きすぎて失敗した時のコストが高くつくため、商品が成熟するのを待って国内に乗り込もうというのだ。
テンセントクラウド維持管理センター総責任者の徐勇州氏によると、テンセントクラウドは現在、世界25の地域で53の利用可能ゾーンを運営している。2016年に海外進出を開始し、2018年には中国本土外に8つのサービスゾーンをオープン。平均すると1カ月半ごとに1カ所となり、国内のクラウド事業者の中では最も速いペースだ。
目下、テンセントクラウドで最も優先順位が高い海外市場は中国の周辺諸国であり、日本、韓国及びシンガポール、タイなど東南アジアだ。その次は欧米諸国で、中東、南アフリカ、南米などは政情が不安定なこととインターネット環境があまり良くないなどの理由により優先順位は低い。
答氏によると、テンセントクラウドは北米に2カ所、欧州に1カ所オフィスがあり、日本、韓国、シンガポール、台湾にもオフィスを構えている。海外には自前の営業部門を置いているが、BD(ビジネス・ディベロップメント)は中国国内に置いているという。
海外市場は米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」とマイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」がシェアの過半数を占めており、テンセントクラウドの存在感はまだ小さい。海外事業においては自社の強みであるゲーム、ショート動画、教育、ECなどの分野を優先的に選択するとみられている。
「これらの事業に関して、我々は中国で豊富な経験がある。あらゆるトラブルも経験済みであり、急速に成長した事例もかなり多い。動画やECの新しいビジネスモデルの多くが中国発祥であり、その後、海外でも徐々に誕生してきている。我々には十分な経験があり、海外向けのサービスも心得ている」と答氏は語る。
答氏はまた、テンセントクラウドとAWSには大きく異なる点があると指摘する。「アマゾンは世界中で成長を果たしてきた会社だが、テンセントはまだ道半ばであり、多くの課題に立ち向かわなければならない」
テンセントクラウドのような中国の会社が海外で事業展開する際には、立ち向かうべき課題や困難が非常に多い。例えばどのようにチームを作るか、どのように中国側と意思疎通を図るか、さらに人材の採用や、多言語対応のアフターサービス、製品の納入など各種の問題が存在する。
(翻訳・山口幸子)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録