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バブル期を終えたVR市場は、新たな発展段階を迎えつつある。
米調査会社Greenlight Insightsによれば、VRオフラインエンタメ分野の市場規模は、2018年に10億ドル(約1100億円)に達し、VR市場全体の約7%にあたる。2023年には120億ドル(約1兆3200億円)に成長する見込みだという。中でもLBVR(ロケーションベースのバーチャルリアリティ)と呼ばれる施設型VRは、世界で最も前衛的なオフラインエンターテイメントの一つである。
光学慣性融合モーションキャプチャシステムの開発を手掛ける「ZVR(北京軽威科技)」はハードウェアの開発・販売からオフラインエンタメ分野へと事業を拡大しており、今年中の完成を目指している安徽省の「合肥VRタウン」では、同社の開発技術と運営ノウハウが採用されている。特に、地底世界を探検するVR没入型アトラクション「The Core」では、同社がコンテンツ開発からハードウェア、アフターメンテナンスに至るまで、全般的な技術サポートを行っているという。
このアトラクションは、広さ約300㎡の中に、4~12人の体験者が同時に入れる。ノンプレイヤーキャラクターに案内されながら、30分の間に雪山から地底まで様々な場面に遭遇するシナリオの中で、体験者が不思議な視覚体験と物理的効果により、完全にストーリーの世界に入り込んでいく体験を味わうことができるという。
他のVR体験と比較して、「The Core」のモーションデジタル技術により生み出される物理的効果が最も注目されている。
VRヘッドセット越しに見えるエジプトらしき場所の壁に手を伸ばすと、物理的な空間の本当の壁に触れたり、視線と一致するレリーフに触れたりすることができる。手を伸ばして壁にある実在の松明を手で持ち上げながら、雪山の風やマグマの熱、蜘蛛が脚の上を這う感触、そして、目の前にそびえ立つ原寸大のピラミッドが見えるなどの奇妙な体験を楽しめる。
ZVRは2016年からLBVRに関する研究開発を始め、数十もの特許を取得した。中でも光学・慣性センサ融合式モーションキャプチャシステム「悟空™(GOKU)」は、独自の知的財産権を有する。
光学システムと慣性計測ユニット(IMU)を同時に用いて移動体を追跡するこのモーションキャプチャシステムでは、光学信号が遮断された場合、IMUデータを用いて運動情報を補正し、IMUデータの累積誤差は光学信号で補正することができる。さらに、新しいモーションモデルでは、各計測点(マーカー)の位置情報は2つ以上のカメラで同時に感知する必要としない。
「悟空™」の座標位置精度はサブミリ精度を誇り、空間内6自由度で動く数百個以上の物体の運動軌跡を同時に捉えることができ、計測周波数は1000Hzに達する。海外の光学式モーションキャプチャシステムと比べ、低コストの上、より高精度・高速を実現した。
ZVRの郭偉CEOによれば、現在、LBVRのさらなる実用化のための研究開発を実施中。将来的にはオフラインの没入型エンタメ、軍事シミュレーション、教育、次世代展示場等の分野に応用される可能性が高いという。
2016年10月、ZVRはプレシリーズAで投資ファンド「厚徳前海」から1500万元(約2億4000万円)を調達した。厚徳前海は映画・テレビ、エンタメ、コンシューマ製品、教育等、幅広い分野で投資を行っている。
将来は、LBVR化された有名なSF映画の世界に入り込み、様々なキャラクターになりきって楽しめる日が来るだろう。
(翻訳・桃紅柳緑)
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