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YouTubeがタテ型短尺動画「YouTubeショート」にショッピング機能を導入すると発表した。先に同様のショッピング機能を導入していたライバルのTikTokも手をこまねいているわけにいかないようだ。
TikTokも新たにフルスクリーン表示が可能なヨコ型動画機能をテスト中だという。テストに参加したユーザーによると、再生画面に表示される「フルスクリーン」をタップするとヨコ型のフルスクリーン表示に切り替わり、ディスプレイを最大限使って動画を視聴できるようになる。
TikTokに投稿できる動画はこれまで最長3分間だったが、このほど10分間にまで延長された。TikTokはこれに続いてヨコ型フルスクリーン動画のテストに踏み切り、さらにYouTubeへの攻勢を強めた格好だ。
現状のTikTokからすると、むしろ「守り」を固めたとも言える。米アプリ分析・データプロバイダーData.aiがこのほど公開した関連データによると、TikTokユーザーの月平均利用時間は2022年第1四半期に23.6時間に達し、YouTubeの23.2時間を超え、初めてYouTubeを追い越した。同レポートによると、TikTokは同期間の月間平均ユーザー数が15億人を超え、初めて利用時間世界5位のアプリになっている。
米アプリ調査会社SensorTowerが公開したデータでは、TikTokおよびその本国版「抖音(Douyin)」は22年11月、世界のApp StoreとGoogle Playで前年同月比10.1%増の2億9200万ドル(約390億円)を売り上げ、ゲーム以外のモバイルアプリで世界首位の座を守った。売り上げのうち約42.9%が抖音から、20.7%が米国市場からのものだ。また、TikTokはすでに10四半期連続でダウンロード数世界1〜2位を維持し続けており、成長鈍化は見られない。
TikTokが海外市場でこのような好成績を収めるまでの道のりは間違いなく険しかっただろう。加えて、YouTubeの「ショート」やインスタグラムの「リール」など世界的大手プラットフォームが短尺動画に参入してきたことで、TikTokも長尺動画やヨコ型動画などより多彩なコンテンツを開拓して、より幅広くユーザーの需要を満たす必要に迫られている。
さらに、TikTokの収入源がほとんど広告に依存しているという現状もある。
中国市場では抖音がEコマースを取り入れたことで飛躍的に成長したが、北米や欧州市場ではTikTokのEコマース事業はあまり受け入れられなかった。英経済紙フィナンシャル・タイムズの報道では、TikTokはすでに欧米市場でのEコマース事業拡張を断念しており、その理由は「ライブコマース」というスタイルが現地ユーザーを惹きつけられなかったからだとしている。
越境コマース業界に従事するある人物によると、ライブコマースが欧米でなじまなかった理由の1つは、消費者が低価格の商品をあまり信用しておらず、品質をより重視していること、もう1つは「知的財産権」などの問題で頻繁に出店業者の業務停止が相次いだことだという。
TikTokはライブコマース以外にも早くからEコマース機能「TikTok Shop」や「TikTok Shopping」をリリースしている。しかし「現地消費者の間で短尺動画を見て買い物をする習慣が育たなかった」ことから、TikTok Shopは米国市場でのパフォーマンスが思わしくなく、また「現地の大手Eコマース企業に太刀打ちできない」状況のようだ。
それでも、TikTokは現在もかけがえのない強みを持っている。膨大な数の若年ユーザーがそれだ。米調査会社Edison Researchが公開したデータによると、TikTokの全成人ユーザーのおよそ半分を18〜24歳が占めるという。
ヨコ型動画を取り入れたTikTokは今後の広告市場でYouTubeにとってより大きな脅威となるだろう。いずれにせよ両社の広告形式は似通っており、広告つきプランを打ち出してきたNetflixやDisney+もこれから多くの顧客を引きつけるようになるのは明らかだ。
YouTubeはTikTokに対抗するため、有料プランのYouTubeプレミアムよりも、YouTubeショートを全面重視し、プラットフォームに占めるタテ型動画の割合を増やす方向に舵を切った。一方のTikTokもタテ型動画を次々スワイプしていくこれまでの形式に加え、より視聴時間を伸ばせるヨコ型動画を強化している。
TikTokが実行した今回の調整は最終的にユーザーに受け入れられるのか。間違いなく言えるのは、TikTokがYouTubeとの直接対決に向けて動き出したということだ。
原文:WeChat公式アカウント「三易生活(ID:IT-3eLife)」
(翻訳・山下にか)
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