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電気自動車(EV)用バッテリー業界で価格戦争が起きそうだ。
世界最大手CATL(寧徳時代)が自動車メーカー向けにリチウム鉱山の利益還元計画を推進し、バッテリーを値下げするという。複数の産業チェーン関係者が明らかにした。
同計画の対象はすべての取引先ではなく、中国のEVメーカー「理想汽車(Li Auto)」、「蔚来汽車(NIO)」、ファーウェイ、中国自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)傘下のEVブランド「極氪智能科技(ZEEKR Intelligent Technology 」など一部の得意先に限ったものだという。
同計画の重要条項では、今後3年間一部の車載バッテリーの炭酸リチウム価格を1トンあたり20万元(約390万円)とし、自動車メーカーは約80%の電池をCATLから購入すると定めている。これについてCATLに問い合わせたが、回答を得られていない。
バッテリー用炭酸リチウムは現在1トンあたり47万元(約930万円)の高値が続いており、1トン20万元でバッテリーを仕入れることができれば自動車メーカーにとっては大幅なコストダウンになる。
「対象となる企業は主にCATLの中国の得意先で、テスラは対象外だ」と関係者は話す。協定を締結後今年第3四半期から実施し、一部の自動車メーカーはすでに締結のプロセスを進めているという。
自動車メーカー向けに値下げ戦略を推進する中、CATLは川上企業にも約10%の値下げを求めていた。ある素材サプライヤーは、これまではCATLは粗利が大きいため今回のように大幅な値下げを求めることはほとんどなかったと話す。
バッテリー業界の関係者はCATLの値下げ措置について「他のバッテリーメーカーが困る」と指摘する。自動車大手メーカー「長城控股集団(Great Wall Holding Group)」傘下の「蜂巣能源科技(SVOLT Energy Technology)」も10%の値下げ計画を打ち出し、一部のサプライヤーは値下げへの協力を求めるメールを受け取っているという。
車載バッテリー業界のリーディングカンパニーであるCATLの発言権は強く、自発的に値下げをするのは相当稀なことだ。炭酸リチウムなどの電池材料が暴騰した昨年、CATLは原材料の値上げ幅に応じてバッテリーも値上げする、原料価格連動方式を導入し始めた。
「材料価格の40%高騰を受け、当時CATLは自動車メーカーに対して約40%値上げした。他のバッテリー企業は材料の値上げ分の全てを自動車メーカーに転嫁せず一部のコストは自社で負担していたため、この値上げは相当大きいものだった」と事情に詳しい人物は話す。
40%の値上げは自動車メーカーには負担が重く、コア部品である車載バッテリーの供給に危機感が高まった。蔚来汽車、理想汽車などの大手はバッテリーを自社製造するか、他の電池サプライヤーとの取引に踏み切った。
複数の業界関係者によると、CATLも圧力を感じ、特に昨年下半期から戦略の練り直しを始めたという。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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