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「顔面偏差値」がモノをいう時代において、美容医療が巨大な成長ポテンシャルを持つ市場であることは間違いない。デロイト・トウシュ・トーマツの中国の美容医療市場に関するリポートによると、2017年の市場規模は1925億元(約3兆円)、2013~2017年の年平均成長率は約22%だった。2018~2022年は年20.1%のペースで拡大し、2022年には市場規模が4810億元(約7兆5000億円)に達するとの見通しを示している。
美容医療をコンセプトとするサービスは数えきれないほど存在するが、美容医療のO2Oサービス「美大夫(BeauDoctor)」を展開する「愛美匠網絡科技(Beaudoctor Network Technology)」の創業者である楊文罡CEOは、既存のプラットフォームは集客のための宣伝が主目的で、利用者側の「実際の評判を確かめて、自分に合った医師を探したい」というニーズを満たしていないと感じていた。
そこで、「美大夫」は医師の評価を星の数で表してランキングするシステムを導入した。現在の美容医療業界に最も欠けているのは「信用」と「インセンティブ」だと確信した楊CEOは、その両方を満たすプラットフォームを作り上げたのだ。利用者はこの評価を参考にして事前に目当ての医師にオンラインでコンタクトをとることができる。美容医療の場合、病気の治療と異なり、医師の良し悪しは「美しく仕上げる腕」で決まる。美しいかどうかは一目瞭然であるため、評価が付けやすい。また、術前カウンセリングや術後の再診に至るまでのコミュニケーションの質も顧客の満足度や信頼感に大きく影響するが、実体験に基づく口コミは信ぴょう性が高く、利用者にとっては貴重な情報だ。一方、医師も自らのブランド力が高まれば収入増につながるという利点がある。顧客による評価はモチベーションの向上にもつながる。
クリニックに所属し、次から次へと患者をさばくだけの「ライン労働者」に甘んじる医師は多いが、医師個人が開業すれば、医療従事者としての視点で信頼感のある医療を提供できるうえ、医師個人の価値をアピールすることで集客にもつながるため、理想的な業態と言える。しかし、開業医は経営者としても立ち回る必要がある。
「美大夫」は開業に必要なこれらのリソースを揃えている。登録医師には、手術のできる共用設備が用意されており、麻酔医師や看護師も待機させる。診療や手術に必要な環境を提供することで、「問診はオンラインで、執刀はオフラインで」というサイクルを形成した。すでに700人余りの中堅医師がオンラインでの問い合わせなどに対応しており、登録ユーザー数は5000人余りに上る。楊CEOは今後、医師の数を増やしユーザー評価や医師の実績、実際の施術例などコンテンツをさらに充実させてから、登録ユーザーの獲得に本格的に乗り出すという。プラットフォーム使用料として取引総額の5%、ユーザー獲得料として10%を受け取り、それを主な収益源としている。
楊CEOはキヤノン中国と老舗医療口コミサイト「好大夫在線(www.haodf.com)」で活躍した人物。キヤノン時代はアフターサービス分野で数多くのソリューションを生み出し、好大夫在線時代はブランドイメージの確立を成功させた。美大夫の創業メンバ―のほとんどが好大夫在線の元社員だ。美大夫はエンジェルラウンドで500万元(約7800万円)を調達済みで、現在はシリーズAで2000万~2500万元(約3億1000万~3億9000万円)を調達することを計画している。調達した資金は市場開拓などに充てるとしている。
(翻訳・鈴木雪絵)
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