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TikTok中国版「抖音(Douyin)」は2月10日、同社ECプラットフォームを利用する加盟店・クリエイターによるプラットフォーム以外での取引へ誘導などの不正行為の取締を強化すると通達した。違反が判明した場合、商品の撤去、中古商品掲載の制限、加盟店の業務停止などのペナルティを課すとともに、定期的に公表することを発表した。
中国では近年、中古品取引市場が拡大している。業界リポートを手掛ける「Mob研究院」のデータによると、中国の中古品流通市場は2020年に取引額が1兆2540億元(約25兆円)に達し、18年から5120億元(約10兆2400億円)も増加している。
膨大な中古品売買のニーズが、EC(電子商取引)でも新たな需要を生み出している。関連リポートによると中国の中古品EC業界は、2021年時点で取引規模が4001億7000万元(約8兆円)にまで成長している。
中国政府が21年に発表した「循環経済の発展に関する第14次5カ年規画(2021~2025年)」ではインターネットを利用した中古品取引が明確に奨励されており、業界基準や取引行動の規範などにも言及している。ここから、中国の中古品EC業界が前途有望であることがはっきり読み取れる。
ここに目を付けたのが、「抖音(Douyin)」と「快手(Kuaishou)」という二大ショート動画プラットフォームだ。ライブコマースと中古品取引をうまく組み合わせ、リアルタイムのやり取りや配信者のキャラクターを生かすことで中古品のオンライン取引をより活気あるものにしている。
抖音が中古ブランド品のライブコマースを本格的に始めたのは20年下半期だ。20年6月に行われた大型ショッピングイベント「618セール」期間中、中古ブランド品を取り扱う「桔夕」が抖音のライブルームで1日の平均GMV(流通取引総額)191万元(約3800万円)という好成績をおさめた。抖音は同年10月に中古ブランド品販売イベント「抖音二奢好物節」を開催するなど、中古品のライブコマースを本格的に開始した。その後も出店者の募集を続け、トラフィック面でも優遇している。現在は中古ブランド品を取り扱う「紅布林(PLUM)」「胖虎奢侈品(Ponhu Luxury)」「妃魚(Feiyu)」など大手各社が抖音でライブコマースを展開しており、抖音ECの中古ブランド品カテゴリは20年にGMVが30億元(約600億円)に達した。
抖音のライバルである快手も負けておらず、20年12月に中古品EC事業を開始。わずか3カ月の間に1000人を超えるプロの配信者が参加し、注文件数は累計63万件を超えている。現在出店している中古品専門のプラットフォームはEC大手「京東集団(JDドットコム)」傘下のBtoCプラットフォーム「拍拍」や中古ブランド品を専門に取り扱う「妃魚」などで、デジタル家電など多くのカテゴリをカバーしている。同社はさらに、アパレルやベビー・マタニティ、おもちゃなどの中古品にもカテゴリを拡充すると発表している。
抖音、快手などのライブコマースECは中古品市場に活気をもたらしているが、中古品取引では消費者の信用を勝ち取ることが何よりも重要となる。中古品取引には以前から偽物や虚偽の宣伝、売り手と買い手の間の情報格差などの問題があるが、ライブコマースという手法はこうした不透明性を助長することにもなり、違反行為が絶えず発生している。
消費者の信頼を得るため、抖音と快手はプラットフォームを絶えず最適化し、消費者の利益保護に力を入れている。例えば快手に出店する中古品販売業者は数々の審査を通過する必要があるうえ、ターゲットを絞った招待システムとなっている。また商品、サプライヤー、配信者をそれぞれ厳格に管理しているほか、サードパーティの鑑定機関を利用したり、高額の保証金の支払いを義務付けたり、配信者のリスク評価を重視したりするなどあらゆる方面でリスクの低減につとめ、利用者とプラットフォームの間の信頼関係を強化しているという。
(翻訳・山口幸子)
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