アリババ系医療共済「相互宝」加入者が7500万人超え 少額の負担金で最大480万円の共済金

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アリババ・グループの金融関連会社「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」によると、同社が運営する医療共済「相互宝」は昨年10月の開始以来、加入者が7500万人を超えたという。今年7月1日までに合計597人の重大疾病患者が同共済の援助を受けている。

相互宝は開始の第一週に、加入者が1000万人を突破した。

加入者全体の56%は三級都市以下の地域に在住しており、農村や県級市(中国の行政区分で県と同等の市)の居住者が32%を占めた。相互宝の運営組織によると、保障額の値上げは今のところ考えていないという。

相互宝は、アント・フィナンシャル傘下の決済アプリ「アリペイ(支付宝)」のアプリを通じて簡単に加入でき、しかも重大疾患をカバーしてくれる。元の名称は「相互保」で、昨年11月改称し、保険商品から共済プランに変更された。

アリペイユーザーは相互宝に加入すれば、重大疾患(対象は100種類)にかかると、最大で30万元(約480万円)の共済金を請求できる。共済金の費用は加入者全員で分担し、2019年の1人あたりの負担額の上限は188元(約3000円)で、それを上回る部分はアント・フィナンシャルが負担するという。

アリペイユーザーは健康上の条件を満たし、相互宝の総合的な与信審査を経て同共済に加入できる。加入後90日が経過して、重大疾患にかかった場合は、病気の種類と加入者の年齢に基づいて、5万元(約80万円)から30万元(約480万円)までの共済金を請求することができ、公示と諸経費の控除が行われてから共済金が請求者に振り込まれる。

各案件の調査と審査については、相互宝は第三者企業と協力して、オンライン・オフライン双方を通じて調査や事実確認を行っている。今後は関連分野のフィンテック技術を活用して処理効率を向上させることを目標にしている。

運営を維持するため、相互宝は共済金を支払うたびに8%の手数料を徴収している。この手数料は保険業界の相場よりも低額だ。今年5月、中国保険監督管理委員会の魏迎寧元副主席は、業界協会が公表したデータを引用し、既存の損害保険の手数料は約40%で、生命保険の手数料は17~20%と述べている。

低く設定された手数料も、相互宝の収益力が外部からの注目を集める要素となってきた。アント・フィナンシャルの尹銘副総裁は、8%の管理費だけでコスト全体を賄うことはできないとの考えを示した。相互宝では収益を考えていないが、技術的手段でコストを抑え、損益のバランスを取ることを目指すという。

さらに尹氏によると、「相互宝と保険は商売敵の関係ではなく、同プランは保障に対する意識の教育とサービスの普及を推進するものだ」という。

アント・フィナンシャル以外に、配車サービス最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」や家電量販大手「蘇寧易購集団(SUNING)」なども共済プラットフォームを立ち上げた。古株の「水滴保」や「軽松保」の加入者は1000万人以上に達している。しかし、各プラットフォームの共済モデルはまだ整備と発展の途中である。
(翻訳・虎野)

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