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中国検索エンジン最大手のバイドゥ(百度)が16日、2023年1~3月期の決算を発表した。売上高は前年同期比10%増の311億元(約6100億円)。純利益は非GAAPベースで57億元(約1100億円)と、前年同期から48%の大幅増となった。コア事業の営業利益は非GAAPベースで同45%増の53億6000万元(約1050億円)だった。
特筆すべきは、クラウドサービス「百度智能雲(Baidu AI Cloud)」が黒字(非GAAPベース)となったことだ。売上高は前年同期比8%増の42億元(830億円)。クラウド事業は22年4~6月期以降、持続可能な成長と経営の健全化に力を入れてきたほか、主要顧客向けのAIソリューションを継続的に構築するなどの取り組みが功を奏した。
事業別に見ると、モバイルエコシステムが引き続きキャッシュフローに貢献している。オンラインマーケティングの売上高は前年同期比6%増の166億元(約3300億円)だった。3月の検索アプリの月間アクティブユーザーは6億5700万人で、前年同期から4%増加しており、モバイル端末を利用した検索や閲覧は順調に増加している。
さらに注目できる点として、中国版ChatGPTと呼ばれる対話型AI「文心一言(ERNIE Bot)」が、ついにバイドゥ検索サービスに全面的に導入されるという。
バイドゥは検索サービスを「生成型検索」へとアップデートする考えでいる。独自開発の生成モデルの機能をベースに、質問を使った検索や個別の情報ニーズに対して「回答を作成する」というものだ。今後の検索技術の変革をリードする存在になると期待される。
文心一言はテスト公開が始まった3月16日から1カ月の間に4回のアップデートを行い、現在はバーション3.5になっている。また業界初となる動的挿入に対応した分散型推論エンジンを搭載し、1秒間に処理できるクエリー(問い合わせ)件数がオンライン版と比較して123%向上した。
大規模言語モデルはクラウド業界で大きな強みを発揮する。業界内では、基本的なクラウドとプライベートクラウドの予算配分を考える企業の多くが、バイドゥのクラウドサービスを優先的に検討するようになるとの見方が強い。これまですでに行政機関や金融、メディア、Eコマースなど幅広い業種の企業15万社が、文心一言のテストへの参加を申請している。
第3の成長曲線である自動運転事業も商業化が進展している。自動運転配車サービス「蘿蔔快跑(Apollo Go)」は1〜3月期、配車回数が前年同期比236%増の約66万回に達した。3月には北京市で完全無人の自動運転タクシーを試験運用する許可を取得、世界中の首都で初めて無人タクシーが運用を開始した。現在、自動運転タクシーは北京市、武漢市、重慶市の3都市で運行している。
全体的に見て、マクロ経済回復の恩恵を最も受けたのは広告事業だ。このドル箱事業のおかげで、大規模言語モデルやクラウド、自動運転事業に継続して資金を注ぎ込むことができる。文心一言はAI分野の重要な攻略点であり、今後も新技術への投資を続けるとみられる。
(翻訳・畠中裕子)
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