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日本ではクレーンゲームの景品が豊富で、フィギュアやアクセサリーからお菓子までさまざまだ。しかし、中国ではクレーンゲームの機器の種類が限られており、景品も主にぬいぐるみだが、これは機器製造技術の限界とビジネスモデルに起因している。
最近、クレーンゲームで獲得した景品を別の景品に交換できるサービスを提供する「我要抓娃娃(woyaozhua.com)」が注目されている。
同サービスの創業者兼CEOの周世哲氏は小売業出身で、2018年2月にエンターテイメント関連商品の小売ブランドの我要抓娃娃を立ち上げた。現在、上海や北京、深圳などに店舗を8店(上海に4店)構えている。
周氏によると、上海のある店舗の1日当たりの接客人数は4000人以上で、コンバージョンレートは80%に達している。業績の好調な店舗では、月の売上高が80万元(約1300万円)を超えており、開業資金回収も4~12カ月ほどで完了するという。現在、同社の月平均の売上高は500万元(約8000万円)前後で、今年末には900万元(約1億円)を突破すると予想されている。
この他に、同社がECのミニプログラムをリリースして以来、最初の5カ月で会員が3万人集まっており、今年の10月までに10万人に達する見込みだ。、オンラインユーザーの定着率は20%だという。これらのユーザーを含めて、我要抓娃娃はさらに業務を拡大するとみられる。
実店舗では「インスタ映え」する内装を取り入れ、オンラインではSNSを存分に活用したマーケティングを行っている。ソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」や中国最大の口コミサイト「大衆点評(Dianping)」などで、ユーザーからの画像投稿やインフルエンサーの投稿が知名度の向上をけん引している。
我要抓娃娃は品揃えが豊富で、景品の更新が早く、品数で勝負する戦略をとっている。
毎週、クレーンゲームの景品のうち30%を入れ替えているという。一方で、ひと月の取扱商品を400品目前後に抑え、運営データと顔認証技術によってそれぞれの商品の人気度を分析し、次回以降の景品選択の基準にしているという。
利用者にとって便利なサービスとして、クレーンゲームで獲得した景品で気に入らない物はポイントと交換して溜めることができ、たまったポイントでさまざまな景品と交換できるシステムがある。同社の公式データによると、クレーンゲームで景品として出ていくぬいぐるみの数は1日当たり5000体だが、そのうちの半分は別の商品に交換されるという。交換対象の商品は、アクセサリーやフィギュア、ブランドバッグまでさまざまだ。このサービスも同社の売り上げ増に貢献している。
景品を交換できるシステムは、冒頭で触れたクレーンゲーム機器の製造技術による問題を解決し、顧客の定着やリピート購入率、客単価の向上につながっている。なぜなら、景品を交換するには少なくともぬいぐるみを6体集めなければならないからだ。さらに、オンラインとオフラインを貫く「新たな小売チャネル」を構築したことで、次の段階で展開していくフランチャイズ経営の拡大において、チャネルの価値がより発揮できるようになる。
我要抓娃娃の収益源は主に店頭販売とオンライン販売によるものだが、前者が売り上げに占める割合が80%と圧倒的に大きい。周氏は今後の伸びしろとして、大規模な店舗数の拡大やソーシャルECの展開、IP(知的財産)ライセンス契約、広告を挙げている。中でもIPライセンス事業は、自社オリジナルキャラクターを念頭に置いており、現在、5つのIPを保有している。国内の一流のデザイナーと協力して、2021年までに100のIPを開発する予定だ。
(翻訳・虎野)
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