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ブルームバーグが7月24日に発表した2019年度「イノベーション・エコノミーの世界調査」の結果によると、「2035年には中国とインドが米国を超えて世界のテクノロジー革新の中心になるか」との質問に回答者の54%が「強くそう思う」、または「そう思う」と答えた。また、「2035年には北京が世界最先端のテクノロジー都市になる」との見方を示した回答者は39%に上った。
調査は世界20カ国のビジネスパーソン2000人を対象に実施。経済の中心が新興国に移っていくなか、世界のビジネスパーソンに将来に対する見解を聞いた。
調査結果について、ブルームバーグのグローバル・チーフエコノミストTom Orlik氏は以下のように解説した。同氏は中国には絶対的な経済のポテンシャルがあると指摘。過去の成長スピードは速かったが、GDPは米国の20~30%に過ぎず、いまだに巨大な成長の余地があるという。
ーー今回の調査目的は世界のビジネスパーソンの考えを知ることですが、何か発見はありましたか。
「発展途上国と先進国のビジネスパーソンでは将来への予測に大きな違いがあることがわかった。全体的に言えば、新興国や発展途上国は将来に対して楽観的だが、先進国はより慎重だ」
ーー世界のビジネスパーソンから見て、中国が将来演じるのはどのような役割でしょうか。
「アンケートには『2035年に世界の技術イノベーションの中心になるのはどこか』という質問があるが、先進国のビジネスパーソンがはっきりした中心地はないと考えているのに対し、新興国のビジネスパーソンは中国やインドなどの新興国が中心になると考えている」
「興味深いのは、『中国は将来的に米国に代わってイノベーションの中心になり得るか』という問いに最も慎重な姿勢を見せたのが中国の回答者だったことだ。これは経済情勢を理解しているほど、態度が慎重になることを表している」
ーーブルームバーグでは世界経済の将来的な発展についてどのように考えますか。
「楽観的に考えている。中国やインド、東アジアの国々には非常に大きな発展の余地がある」
ーーなぜ中国を有望視するのでしょうか。
「この図がその理由を表している」
「この図では縦軸がGDP成長率、横軸が一人当たりGDP(購買力平価ベース)の米国の一人当たりGDPに対する比率を表している。オレンジの線が日本だ。1990年、日本は深刻な経済危機に見舞われた。それ以降、日本経済はほとんど成長していない。そのため日本を表す線は数年の発展を経た後、原点に戻っている」
「これと対照的なのが白い線の中国だ。中国は1980年前後は極めて貧しかったものの、30~40年にわたる急速な発展において、非常に大きな進歩を遂げ、以前と比べるとはるかに豊かになっている。しかしGDPの割合では米国のわずか20~30%に過ぎない」
「この図には中国の他にインドやASEAN(アセアン)などが示されているが、これらの国や地域にも中国との類似点がある。経済の成長スピードは中国ほど速くはないが、全体的な状況は似ており、急速な発展を遂げた後もなお、大きな成長の余地があると考えられる」
ーー中国経済はどのような課題に直面していると思いますか。
「経済学者は、一部の職業は簡単にロボットに置き換えられるのではないかと考えている。この図が示しているのは中国経済の各分野の状況だ。縦軸は職業の再現性の程度を、横軸はそれぞれの分野の発展スピードを表している。点が縦軸の高い位置にあれば、その職業は簡単にロボットに置き換えられることを表している」
「この図によると中国で成長スピードが最も速い分野は金融や小売り、建築だが、同時にこれらの仕事は再現性が高い。インドやブラジルを含む全ての新興国も似たような状況だ」
「われわれは未来は明るく、オートメーション技術が生活の質を向上させると信じている。しかし今後10年から20年は多くの労働者がリスクにさらされることになるだろう。オートメーション技術が彼らの仕事を奪ったり、不要なものとするからだ」
(翻訳・山口幸子)
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