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コンビニ大手のセブン-イレブンが中国展開を加速させている。
8月22日、中国西北部の陝西省西安市に同省初のセブン-イレブンがオープンした。日系コンビニエンスストアの空白地帯と言われる西安市に、世界最大のチェーン店がついに出店した形だ。セブン&アイホールディングスの子会社セブン-イレブン(中国)投資有限公司の内田慎治会長は、これまでの経験を活かして、3年以内の黒字化を目指すと語った。
5月に発表された2019年の中国主要都市の商業的魅力度ランキングで、西安市は昨年の8位から5位へと順位を上げ、商業都市としての力をさらに強めていることがうかがえる。
中国展開を加速へ
中国市場においては、この7年あまり、セブン-イレブンは現地企業と設立した合弁会社を通じて店舗展開を進めてきた。今回の西安市への進出では、西安市に本部を置く「陜西賽文提客便利連鎖有限公司、略称賽文提客」にフランチャイズ権を付与している。さらに、ひとつの商圏内での同チェーン系列店による競合を避けるため、排他的テリトリーも設定された。国有企業が出資している賽文提客の資本金は4億6000万元(約69億円)である。
賽文提客の、国有企業というバックグラウンドと豊富な資金力は、セブン-イレブンの中国西北部進出にとって大きな助けとなるだろう。
今回の西安第1号店の出店場所を決める権限は賽文提客に与えられ、セブン-イレブン本部にロイヤリティを支払えば、利益は全て賽文提客側のものになる。一方セブン-イレブン側は、商品の提供やサプライチェーン、マネジメント等の面からサポートを行う。
世界三大コンビニチェーン店の1つであるセブン-イレブンだが、これまで中国展開の速度は比較的遅かった。
セブン-イレブンが北京に進出して10年になるが、現在北京の店舗数は300店程度、中国全体でもわずか1800店で、大部分はここ数年でオープンした店舗である。ライバル企業とは大きく差を付けられており、中国市場におけるシェアは決して高くない。ちなみに、ライバル企業のファミリーマートとローソンの店舗数は上海だけでもそれぞれ1600店、1300店に上る。
市場の競争が日々激しさを増している中、中国の各地に通用する利益モデルを模索し続けているセブン-イレブンも流石に焦りを感じ始めている。
コンビニ市場の競争激化
セブン-イレブンの出店を誘致したい西安市政府は、2018年3月にはすでに北京の内田会長を訪ねていた。一部報道によると、西安市はわずか22分でセブン-イレブンの会社登記手続きを完了させたという。これは前代未聞の出来事であった。
現在、西安市で最も多いコンビニチェーン店は、中国系の「毎一天便利店(everyday)」である。2018年の時点で約800店舗を展開しており、売上高は12億元(約180億円)を超える。2018年3月には、シリーズAで2億元(約30億円)の資金を調達している。今年2月に西安市政府は「2020年までに市内のコンビニ店舗数を3000店まで拡大させる」という目標をを掲げている。
中国EC大手アリババや京東(JD.com)グループの出資を受けた中国本土のコンビニチェーン店が成長する中、西安市政府が世界大手のセブン-イレブンやファミリーマートにラブコールを送ることで、西安市のコンビニ市場を巡る競争は、ますます激化していくだろう。(翻訳・桃紅柳緑)
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