最強の地図アプリ「高徳」が配車・生活サービスに進出 滴滴、美団の市場狙う

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アリババが2014年に買収した中国で大人気の地図アプリ「高徳(Autonavi)」が、配車や給油、車両メンテナンスといったサービスの提供に乗り出した。目指すのは、単なる地図サービス事業者からモビリティを起点とした総合プラットフォームへの転換であり、配車サービス最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」とO2Oサービス大手「美団点評(Meituan-Dianping)」をターゲットに見据えた攻勢を強めている。

配車サービスに関しては、オンライン化で後れをとる事業者を対象に自社のSaaSの提供を開始した。ユーザーは一つのアプリで複数の配車サービスを利用できるようになる。

さらに今年に入り、「吉利汽車(Geely Auto)」「首汽集団(Shouqi Group)」「中国第一汽車集団(FAW Group)」「上海汽車集団(SAIC MOTOR)」「江淮汽車(JAC MOTORS)」といった自動車メーカーも自社の配車サービスを次々と立ち上げており、高徳地図はこれらの企業との提携も実現した。

各社配車サービスと提携プラットフォームの関係(公開情報を元に36krが作成)

サードパーティに自社のプラットフォームを提供するこのビジネスモデルでは、配車要請件数に応じたサービス費用を徴収しており、乗客数が増加すれば一定規模の利益が得られる上にマージナルコストも低い。このため高徳、美団、滴滴がパイを奪い合う状況だ。

配車サービスと高精度地図に加え、高徳は各種生活サービスの提供を通じた情報エコシステムの構築を試みている。先月下旬には「支付宝(アリペイ)」のミニプログラム(小程序)と提携した。高徳のアプリからは、モビリティと関連した各種サービスのミニプログラムに接続できるようになった。

さらに先月初旬にアップデートされた高徳の最新版アプリでは、グルメ、ショッピング、エンターテインメントなどに関する情報サービスも追加された。高徳の月間アクティブユーザー数(MAU)は4億人にも上り、他社プラットフォームとの交渉余地も大きい。現時点で接続済みのプラットフォームは、アリババ系口コミサイト「口碑(Koubei)」、テンセントが出資した大手旅行サイト「馬蜂窩(Mafengwo)」、バイドゥ系の大手オンライン旅行会社「携程旅行網(Ctrip)」などだ。

高徳が接続した他社プラットフォーム(作成:36kr)

この結果、高徳と美団の事業内容の重複はさらに拡大している。高徳の強みは、現時点ですでに地図情報サービスの利用者を大量に抱えている点であり、彼らが地図を利用するついでに、新規サービスを利用するように誘導できることだ。さらに高徳は今後、情報サービス分野にさらに切り込み、モビリティ関連のSaaSで培った運営ノウハウを飲食・宿泊・旅行関連サービスに転用していくことも考えられる。

アリババがフードデリバリー「餓了麽(ウーラマ/Ele.me)」と口碑のサービスを統合して以降、地域密着型サービスと即時配達をめぐるアリババと美団の戦いはますます激しくなった。高徳の親会社であるアリババの立場からみれば、高徳の今回の新たな施策は美団をけん制する一手といえるだろう。
(翻訳・神部明果)

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