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「こんにちは。健康診断レポートとメディカルアドバイスがあります」。近い将来、トイレからこんなふうに話しかけられるかもしれない。
現在、センサー内蔵のスマートトイレは、人の健康に関するミニ「診断所」となっている。用を足すと、トイレに装備されている分析測定モジュールとチップが自動的にデータを収集し分析する。測定結果は携帯電話のアプリなどの健康管理プラットフォームに送られユーザーに健康相談サービスを提供するという仕組みだ。
このような健康管理機能付きのスマートトイレを開発した「幾何科技公司(GEOMETRY HEALTHTECH)」の創業者兼CEOの陳良程氏は、「スマートトイレは家庭で利用でき、大変すばらしい健康管理ポータルだ。使いやすく、応用性が高い。スマート化に伴い、トイレは検査測定器具としての活用が期待され、人の生活との密着度がより高まっている。今、人体のデータをモニタリングするのにトイレに代わる方法はない」と語る。中国国内において、健康データのモニタリング機能を持つスマートトイレは完全なブルーオーシャン市場だ。
「命を救う」トイレ
トイレで身体データをモニタリングするなどということが、本当にできるのだろうか。この問題について、米国の「トイレ・ボード・コーリション(Toilet Board Coalition)」のマイケル・リンデンマイヤー(Michael Lindenmayer)氏は次のように述べている。「現代人は病気になってから診察を受ける。体のデータが語る言葉によく耳を傾けようとするならば、トイレの方が人間よりそれを十分かつ明確に実行できている」しかし、現在、大量の身体データは十分に利用されることなく、そのトイレを通じて無駄に下水道に流されているのだ。
充電しなければ使えないウェアラブルデバイスと異なり、トイレは対象者の習慣を変えることなく、黙々とデータを収集し、定期的にモニタリングするだけだ。さらに便座は実際に皮膚に触れることで、より正確にデータを読み取ることができる。現在のスマートトイレは心疾患をモニタリングするだけではなく、尿のモニタリングを通じてがんや糖尿病の初期症状を早期発見することもできる。
トイレのビジネス
大手企業はすでに動き出している。世界最大の家電技術見本市である「CES2019年」では、アメリカの水まわり製品ブランド「コーラー(KOHLER)」が音声アシスタントAlexaを活用した音声制御トイレやスマートバスミラーなどの製品を出展している。
グーグルは2016年にバスルームの特許を取得したことを発表した。設計図によると、未来のスマートバスルームには超音波バスタブと圧力センサートイレが設置され、心臓や血管の健康状態について全面的な検査測定ができるという。またグーグルの親会社Alphabetは2015年に血圧測定用の圧力センサートイレの便座の特許を申請している。
日本メーカーのTOTOとパナソニックはWi-Fiに接続できるトイレを設計している。尿と大便の成分分析により、肥満度を示す体格指数BMI、身体の生化学的構成物質(糖分、たんぱく質)と尿の温度を測定することができる。
前述の陳良程氏によると、幾何科技の全自動スマート健康管理トイレは2019年下半期に正式に商用化されるという。
欧州宇宙機関(ESA)のプロジェクトマネージャー、デビッド・コッポラ(Davide Coppola)氏は、スマートトイレのより大きなビジョンを描いている。「もし一つの地域に1000個の人体データを収集できるスマートトイレがあれば、空間データを利用してその地域の疾病をモニタリングすることが可能だ。そして疾病が広まる可能性を計算できる」と語る。トイレのセンサーデータと衛星の観測データの結合により最終的には疾病予防のための健康情報システムを構築することができるのだ。
ひょっとしたら、トイレはもはや汚いものの代名詞ではなく、より健康的かつスマートなイメージに結びつく存在なのかもしれない。
(翻訳・桃紅柳緑)
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