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飲食、雑貨、ポップアップショップなどさまざまな業態に対応できる移動販売車。この目新しい商業形態に商機を見出し、オンデマンド製造とソリューションを提供するのが「街景科技(JEKEEN)」だ。
同社は2016年設立。偶然手掛けた移動式の写真店が、このニッチ市場を掘り起こすきっかけとなった。移動販売車のオーダーメイドだ。この分野は仕様がバラバラで標準化されていない。採算ラインも読めずスケールメリットを見出せない。そのため製造コストが高くなり、クオリティが安定せず、生産力を上げるのも難しかった。そのため多くは小規模な町工場が製造を請け負っていた。
製造コストを下げるには、標準化された仕様パターンを大ロット生産するのが一般的だ。しかし創業者兼CEOの李文君氏は、小ロット生産の隙間(ニッチ)市場にこそチャンスがあると考えた。価格が変わっても需要は変わらない、底堅いニーズがあるからだ。それにはまず、短期間で納品できる低コストのサプライチェーンを整備する必要があった。
そこで、ドイツ発インダストリー4.0の「製造業におけるデジタル化」を参考に、1つの製品に特化したスマートファクトリー事業に構造転換した。特定の顧客ニーズを満たして、ブルーオーシャンに打って出る戦略だ。
仕様設計が標準化されていない製品は、コストが高い、クオリティが不安定、納期に時間を要するといった課題を抱えていた。しかし、これまでの仕様設計データを活用すればコストを抑えられ、サプライチェーン企業の対応も向上しこの問題を解決できると考えた。街景科技は2017年、仕様設計パターン全てのパーツ・原材料をデータ化して、仕様設計から生産までの工程をモジュール化。手間のかかるカスタム製造に適した工場をマッチングし、設計と製造業者をつなぐ「D2M(Design&Data to Manufacture)」のオンデマンド製造プラットフォームを構築した。
ユーザーは、アプリを使いオリジナル移動販売車の仕様設計を完成させる。そして街景科技がMES(製造実行)やWMS(在庫管理)などのシステムにより、生産に必要な部品や原材料データから、カスタム製造に適した工場をマッチングし、製造の指示を出す。そうして設計から生産まで各サプライチェーン企業によるスピード納品を実現した。現在は既に応用の段階に入っている。
大手メーカーからすれば、小ロットの移動販売ビジネスは魅力的ではない。一方、町工場からすればスマート化製造システムには大掛かりな準備や資金が必要で、実行するにはハードルが高い。これこそまさに求めていた巨大ニッチ市場だと李氏は考えている。
最近では、日本のユーザーからキャンピングカー150台を受注したという。従来であれば3~6カ月を要する工程だが、街景科技は45日間で納品が可能だということを証明した。2016~18年の間、毎年売り上げは倍増しており右肩上がりに伸びている。
同社は既に世界30カ国からのオーダーに対応し、8つの国と地域にエージェントがあるという。今年末には移動販売車5万5000台分の生産力をもつ6万平方メートル超の新工場が完成する予定だ。
街景科技は総勢300人で、このうち20%が研究開発にたずさわっている。創業者兼CEOの李氏はシリアルアントレプレナーで、これまでに設計・内装・家具を含むインテリア全般とEコマース分野での創業経験がある。コアメンバーは独シーメンスや中国ソフトウェア大手「金蝶国際(Kingdee)」などの出身者で、FA、スマート製造及び海外マーケティング・セールスの経験をもつ。同社は現在、シリーズA+で資金調達中だ。
(翻訳:貴美華)
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