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モバイル・インターネットのトレンドが過ぎ去り、インダストリアル・インターネットの形がまだ明確にならないなか、投資家にとってのビッグチャンスはどこにあるのか。譚秉忠氏の答えは、「シティ・インターネット」だ。
譚秉忠(Benson Tam)氏は、「一奇資本(venturous group)」の会長兼創設パートナーだ。30年近い投資歴を持つ香港人の彼を語るとき、最も重要な肩書は次の2つだ。「富達亜洲ベンチャーキャピタル(Fidelity Asia Ventures、以下「FAV」)」のパートナーであること、そしてアリババに最初に投資した1人だということ。36Krの入手した情報によれば、譚氏が運営する一奇資本は不動産・ベンチャーキャピタルコンサルティング会社の「Lioncrest Global」と合併することになった。再編後はハイテクと新型の不動産を投資先とし、中国で10の「スマート・ミニタウン」を作ることを目指すという。
譚秉忠氏は孫正義氏よりも3ヶ月早くアリババに投資した。1999年10月、FAV、ゴールドマン・サックス、「シンガポール政府科学技術発展基金(以下「Singapore TDF」)」などが、アリババに500万ドル(約5億4000万円)共同出資し、譚秉忠氏は個人名義で投資に参加した。
FAVは、譚秉忠氏がトップを勤めた10数年間、後の有名企業に多数の投資をしてきた。しかし、2012年に中国本土のVCやPEが大量に台頭すると、投資市場は群雄割拠の状態になった。このようなレッドオーシャン市場で、旧来の投資スキームに限界を感じた譚秉忠氏は、FAVから離れ、投資を一から考え直した。その後の数年間、彼は手持ち資金を使い多数の投資を行い、2016年に以下の確信に達した。「投資はマネーゲームではない。人こそが大事だ。」
悟りを開いた譚秉忠氏は、全く異なる投資事業を始めた。彼は数十名の投資家が参加するグループを作り上げ、ともに投資することにした。グループに参加した投資家は、譚秉忠氏にとって出資者となっただけでなく、顧問やシンクタンクの役割も果たし、最適な投資先を教えてくれるのである。その後、提案をもとに譚秉忠氏が投資の構造を組み上げていく。
では、投資先はどこか。譚秉忠氏は「シティ・インターネット」に最も期待しているという。具体的な形として、「スマート・ミニタウン」が挙げられる。
スマート・ミニタウンは、簡単に言えば、中国でよくみられるハイテク工業団地をより大きくしたものだ。工業団地は昼間こそ賑わうが、夜にはゴーストタウンのようになってしまう。それに対し、スマート・ミニタウンはオフィス、商業施設、生活施設など多様な機能を備える。すでに一部先行事例もあるが、譚秉忠氏が考えるスマート・ミニタウンは、エッジコンピューティング、AI、IoTなどで一歩先を行くという。
これはあまりにも大きな構想であるため、譚秉忠氏が認めているように、自身のファンドだけで作り上げることは不可能だ。彼はほかの投資家や、実力のあるテクノロジー企業とともにスマート・ミニタウンを作りたいという。一奇資本は全体の構想や計画立案を担当する。
スマート・ミニタウン関連の主要な投資先には、ハイテク業界と不動産業が含まれる。譚秉忠氏の計画では、今後資金の半分を5G、テクノロジー、IoTなどに投資する予定だ。残りの資金は不動産開発に使われる。ただし、従来の意味での不動産ではなく、新たなタイプの資産として、新種の商品として提供されるという。「スマートフォンのように、未来の不動産はスマート不動産だ」と、譚秉忠氏は語る。
(翻訳:小六)
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