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人工知能(AI)技術で企業法務を支援する中国リーガルテック企業の「北京冪律智能科技(PowerLaw AI)」(以下、パワーロー)がこのほど、プレシリーズBで約8000万元(約16億円)を調達した。藍馳創投(Lanchi Ventures)が出資を主導し、電子契約サービス大手のe簽宝(esign)のほか、既存株主の紅杉中国(HongShan、旧セコイア・チャイナ)、源碼資本(Source Code Capital)、線性資本(Linear Capital)および大規模言語モデル(LLM)開発のユニコーン企業の智譜AI(Zhipu AI)などが参加した。
パワーローは2017年に設立され、契約など企業法務へのAI活用に取り組む。AI技術による法律の条文や契約情報の分析・処理を主要事業とし、企業向けに契約審査や知識管理、法律検索などに関するAIソリューションを提供している。
創業メンバーは全員、理系の名門・清華大学出身。共同創業者の涂存超・最高経営責任者(CEO)と張天揚氏は、いずれもコンピュータサイエンスを専攻し、博士号を取得している。涂氏は、AIおよび自然言語処理(NLP)の分野で多数の論文を発表し、博士論文は清華大学の優秀博士論文に選ばれた。張氏は、データマイニングの分野で発表した複数の論文が高く評価された。
パワーローは2023年、智譜AIと共同で法律分野に特化したLLM「PowerLawGLM」を発表した。PowerLawGLMは、智譜AIの汎用LLM「ChatGLM-130B」をベースに開発され、すでにバージョン3.0までアップデートされている。
法律分野では情報の扱いに高い正確性が求められるため、専用のLLMには法律に関するデータと知識を組み込んだうえで、正答率を引き上げる必要がある。涂CEOは「他の汎用LLMと比べた結果、PowerLawGLMは法律に関する問題の処理で高い優位性を発揮し、7割以上の問題で最高の結果が得られた。しかも、人間より優れた回答も多かった」と説明した。
同社は現在、PowerLawGLMをベースに開発したプロダクトとして、AI契約審査「MeCheck」とAI契約管理「MeFlow」を打ち出し、企業の正確な意思決定を後押ししている。
契約審査については、すでに審査項目1000件近くを蓄積し、契約データ1000万件余りのアノテーション(タグ付け)を完了。自社開発したアノテーションプラットフォーム、アルゴリズムプラットフォームおよび推論エンジンを企業に提供している。同社のソリューションを導入した企業は、契約審査の効率が平均で50%余り向上したという。
涂CEOは、LLMが契約審査の業務効率を大幅に向上させたと説明。「従来の当社のAI契約審査では知識の整理・データアノテーション・AIモデルのトレーニングの3段階が必要だった。しかし、LLMの導入後はデータを直接抽出することが可能になり、低コストで高い業務効率を実現した」と述べた。
契約管理ソリューションのMeFlowは、インタラクティブデバイスを通じてユーザーに新たな体験を提供する。契約書のひな形を作成する場合、MeFlowを起動してAIアシスタントを呼び出し、必要な項目を入力するだけで、AIアシスタントがひな形を生成してくれる。対話しながら情報を追加すれば、ひな形も自動更新される。
パワーローはすでに、インターネットや製造、小売チェーン、金融、医療などの業界大手を含む100社近くを顧客に抱えている。これまで大企業や中堅企業を主な顧客としていたが、現在は中小企業にもサービスを提供すべく、より標準化されたサービスモデルの開発に取り組んでいる。中小企業向けの法律アシスタントサービス「無憂吾律」は、ベーシックプランなら年間3999元(約8万円)で法律に関する問い合わせや文書作成、契約審査などのニーズに応える。
*2024年1月8日のレート(1元=約20円)で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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