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中国の有力AIユニコーン企業「百川智能(Baichuan Intelligent)」が1月9日、キャラクターに特化した大規模言語モデル(LLM)「Baichuan-NPC」を発表した。Baichuan-NPCはキャラクターの知識と対話能力を最適化することで文脈をより正確に理解し、キャラクターの性格に合わせた対話や行動ができるようになり、よりリアルで生き生きとしたキャラクターを作ることができる。
百川智能は検索エンジン「捜狗(Sogou)」の創業者・王小川氏によって2023年4月に設立された。中心メンバーはグーグル、テンセント、バイドゥ、ファーウェイ、マイクロソフト、バイトダンス(字節跳動)など出身のAI人材だ。設立以来の調達金額は累計3億5000万ドル(約520億円)に達しており、設立から半年足らずでユニコーンの仲間入りをした。
キャラ崩壊の問題を解決 よりリアルなキャラクターに
LLMはChatGPTの登場以来、大きな注目を集めており、特にゲームなどの分野で大きな可能性が見込まれている。ChatGPTを開発した米OpenAIは初期に、人気オンラインバトルアリーナゲーム「DOTA 2」でAIを訓練し、現実の世界の混乱と複雑性をシミュレーションしてLLM開発の方向性と基礎を確立した。AI技術はすでにゲーム業界のノンプレイヤーキャラクター(NPC)の設定、作図、シーンのモデリングなどにも取り入れられ、ゲーム業界のコスト削減や制作効率の向上に一役買っている。
しかし、ゲーム開発のプロセスにLLMを使用するにはなお多くの課題がある。最も大きな問題は現在のLLMではキャラクターがまだ「人らしくない」ため、ユーザーがゲーム体験に没頭できないことだ。
キャラクターが「人らしい」かどうかは主にLLMの基礎能力とキャラクターの一貫性で決まる。基礎能力にはモデルの汎用的な能力のほかキャラクターの知識、対話能力、話を展開させる能力や推理能力がある。これらの能力を強化する最も良い方法は、事前学習の段階で質の高いデータを使ったピンポイントの訓練を施すことだ。百川智能は大量の業界ウェブサイト、良質の書籍、優れた脚本データを集め、Baichuan-NPCに対して3兆トークン以上の関連知識で事前学習を行った。
このほか、Baichuan-NPCはさまざまな方法でAIが合成したデータを使って事前学習段階の知識を強化し、LLMが「AはBである」というデータを学習していても「BはAである」と自動的に推測できないというリバーサルカース(逆転の呪い)の問題が起きないようにして、トークンの利用効率を大きく向上させた。
キャラクターの一貫性の問題というのは、汎用言語モデルでキャラクターを演じる過程で「キャラ設定」を無視していきなり「AIアシスタント」に変わったり、設定したキャラクターにそぐわない言動をしたりすることを指す。この問題について百川智能は思考の連鎖を制御する技術を導入し、モデルの思考プロセスとその後の行動や表現をより人間に近づけることでキャラクターの一貫性を高めている。
同社によると、このプロダクトは対話能力やキャラクターの一貫性などに強みがあり、すでに中国語の分野ではキャラクターに特化したLLMの上位にある。
さらに、キャラクター制作プラットフォームとナレッジベース検索を組み合わせたオーダーメードのソリューションをリリースした。ゲームメーカーはソースコードを書くことなく、簡単な言葉で説明するだけで欲しいキャラクターをすぐに作り上げることができ、低コストで高効率のキャラクター制作を実現した。
百川智能は、完美世界(パーフェクト・ワールド)、愛奇芸(iQiyi)など多くのゲームやエンターテインメント業界のトップブランドと提携関係を結び、共同でAIGC(AI生成コンテンツ)の応用シーンを開拓していく予定だ。
*2024年1月25日のレート(1ドル=約148円)で計算しています。
(翻訳:36Kr Japan編集部)
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