原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
大手動画共有サイト「ビリビリ動画」が今後高速成長を保ちつつ、コミュニティのイメージを守るためには、どうすればよいのか。
現在ビリビリ動画はドキュメンタリーなど、既存ユーザーと異なるターゲット層のコンテンツを出すことで、新規ユーザーの獲得を目指している。
また、同サイトの売上高の6割を占めるゲーム業務でも新戦略として、少数規模の開発者によって作られたインディーズゲームに乗り出している。
後者の戦略について、36Krがビリビリ動画の副総裁張峰氏を取材した。
「理想主義を持ち続ける」
――なぜインディーズゲームに乗り出すのでしょうか。
「コンテンツ産業として、インディーズゲームは、コンテンツが持つ精神をより表せると思っているからだ」
「中国で最初にオフラインPCゲームを開発した人たちには夢があり、伝えたいものがあった。しかし、当時のユーザーは海賊版でばかり遊んでいたため、クリエイターたちはオンラインゲームを開発することにした。その後基本プレイ無料のビジネスモデルが出現した。このビジネスモデルの特徴は普及しやすい点と、ユーザーが収入に応じた金額を使える点で、企業として生き残るには最高のモデルだと皆が考えた。しかし、これが理想的なゲームだとは誰も思っていない」
――コンテンツ産業のビジネスモデルの変化がコンテンツ自体に影響を与えたということですか。
「ビリビリ動画はUGC(User Generated Contents、ユーザーがコンテンツを提供すること)モデルだが、それでも一定の方向性を持ち、良いコンテンツとはどのようなものなのかをユーザーに伝えるべきだと考えている。コンテンツやメディアの仕事をする人間は、どのように変わっても、理想主義を持ち続けているものだ」
「オフラインゲームはシンプルな楽しみになることができる。2、30元(約300-450円)で20時間ほど楽しむことができ、非常に純粋なものでもある。どちらかといえば、芸術作品のようなものだ」
――インディーズゲームはあなた方の理想主義を代弁しているわけですね。
「文学にたとえるなら、インディーズゲームは純文学ではないにしても、大衆文学のなかで最も優れたものだと考えている。暇つぶしに読んで、読み終わったら何も覚えていないネット小説のようなものではない」
「インディーズゲームの大半はオフラインゲームだ。だから世界観やビジュアルにおいて大胆な改革を試みることができる。私たちがこのほどリリースした新作ゲームも、ビジュアルにおいてそれぞれ大きく異なる」
インディーズゲームはIPになれる
――どのようにインディーズゲームを定義するのでしょうか。ビリビリ動画は支援するスタジオとしないスタジオをどのように選定しているのでしょうか。
「やはりその作品に尽きる。まず、優れた作品に仕上がっているかどうか。現時点でクオリティに課題があるとしても、ポテンシャルの高い開発チームなら支援する」
「インディーズゲームかどうかを判断する際、ストーリーやビジュアルから、独自の思想や個性的なスタイルを持っているかどうかも見ている」
――ビリビリ動画がIPを買い取り、スタジオにインディーズゲームとして開発するよう依頼することはあるのでしょうか。
「IPを買い取り開発チームに依頼する形は諦めていないが、インディーズゲームには向かない。IPは非常に高価で、商業化の形でゲーム開発するしかない」
「逆に、インディーズゲームがIPに成長する可能性はある。インディーズゲームには、独自の世界観、ビジュアル、バトルシステムを持ち、革新性があるからだ。成功を収めたインディーズゲームをオンラインゲームとして開発し、商業化するのは問題ない。中国のインディーズゲーム開発チームには、他人の焼き直しではなく自分たちのIPを作れと常に伝えている。」
理想主義は成功に直結しない
――ビリビリ動画とインディーズゲーム開発チームの提携はどのように行われているのでしょうか。
「技術、人材、資金の面で支援をしている。マーケティングやパブリッシングでもサポートしている。ビリビリ動画が支援しているインディーズゲームはどれも利益を挙げていない。面白いゲームがたくさんあるということを、まず中国のユーザーに知ってほしいのだ」
――なぜ今見返りの少ない事業をやるのでしょうか。
「ユーザーのニーズに応えるためだ。ユーザーがいれば、ほかの収益は自ずと増える。ユーザー獲得こそ最もコストのかかることだ。大事なのは、ゲームがビリビリ動画の事業全体のためにコンテンツを提供し、ユーザーを引きつけることができるという点だ」
「中国において、インディーズゲームの市場はまだ初期段階で、早めに参入すべきだと考えている。ユーザーやクリエイターから支持を勝ち取ることができれば、長期的に価値を生み出すことができる。つまり、短期的な収益を目指すのか、それとも長期的な戦略を重要視するのかの違いだ」
――これまでもインディーズゲームの開発チームを取材したことがありますが、最後には仲間がいなくなり、1人しか残らないことがよくあるようです。
「何かを伝えたいという気持ちだけではなく、伝える力もなければならない」
「自分には才能があると思いこんでいる人がいるが、結局は商品にかかっている。中国の市場規模とユーザー数を持ってすれば、本当にいいゲームなら、10-20万は売れるはずだ。それに届かなければ力不足だということだ。そのような方はもしかすると、より大きなチームで商業化したゲームを開発するのに向いているかもしれない」
「理想主義を貫いたからといって、成功に直結するとは考えていない」
(画像はビリビリ動画の提供による)
(翻訳:小六)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録