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中国IT大手バイドゥ(百度)は自動運転タクシーの商用化に向け、実際に乗客を乗せる試験サービスを開始した。少し前にはグーグル系自動運転車開発企業「ウェイモ(Waymo)」、米自動車部品大手「アプティブ(Aptiv)」が既に同様の試験を始めている。
バイドゥは先月末より、湖南省長沙市で完全自動運転のロボタクシー「Apollo Robotaxi(アポロ・ロボタクシー)」の試験サービスを実施している。まずは中国国営自動車大手「中国第一汽車集団(FAW Group)」製の電気自動車「紅旗EV」に、同社が率いる自動運転開発連合「アポロ計画」の開発したシステムを搭載した45台が公道を走行しており、利用希望者は公式サイトでユーザー登録すれば、実際にサービスを体験できる。
アポロ・ロボタクシーは道路状況によって車線変更したり、周囲の走行車両の状況を把握して、車間距離の近すぎる追い越し車両には道を譲る判断をしたりできる。また、視界を遮るものがあっても、前方の信号機の点灯状況の変化がや信号待ち時間を察知できる。乗車待合いエリアに設置されたスクリーンでは、走行中の試乗車周辺の歩行者や車の様子や、死角になっている道路の状況がリアルタイムで映し出される。
長沙市当局は今年6月、アポロ・ロボタクシーに対し、人を乗せることができる有人試験用ナンバープレート(ライセンス)45台分を発行した。同社は8月初旬から1カ月以上にわたり、毎日7時間の連続走行テストを行っている。
バイドゥは、長沙市でのアポロ・ロボタクシーの試験サービスについて、実施する公道を年末までに約50キロメートルに、2020年前半には135キロメートルに延長する計画だとした。
アポロ・ロボタクシーは最近、湖北省武漢市でも自動運転の商用ナンバープレートを取得した。これまでの有人試験用ナンバープレートと異なり、商用ナンバープレートは事実上の事業展開が可能となるが、実際の運営にはまだ時間が掛かりそうだ。
バイドゥだけでなく、ライドシェア中国最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」の自動運転事業にも最近動きがあった。今年8月の分離(スピンオフ)以降、同社は上海市で自動運転の公道試験用ナンバープレートを取得、滴滴出行の張博CTOは上海市で開催された「2019年世界人工知能大会(WAIC)」で、上海市嘉定区で有人試験走行を早急に実施するとの計画を発表した。テスト車両は30台、1回の走行距離は10キロメートルを超える予定だという。
しかし、もっとも大きな課題が今なお残っている。自動運転タクシー「Waymo One(ウェイモ・ワン)」と同じように、アポロ・ロボタクシーもまた安全確保のため運転席に補助員を同乗させる必要があるのだ。
このほかに、自動運転は道路状況の情報伝達体制や、道路そのものの状況に対して厳しい要件が求められる為、試験サービスは特定エリア内で特定の人向けに提供するにとどまっている。
バイドゥが今回試験サービスを開始したのも長沙市の「スマート運転モデル区」で、ウェイモ・ワンの実証実験も米アリゾナ州フェニックス市周辺のエリアで特定のテストユーザー向けに限られていた。これらのユーザーは一般ユーザーと違い、自動運転への受容度が高く、たとえ有料だったとしてもサービスを利用する意向がある。
同乗の補助員に最終的な安全確保を委ね、走行エリアや利用者が限られている現況では、自動運転タクシーの商用化は難しい。
(翻訳:貴美華)
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