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国家衛生健康委員会の統計によると、中国で抜け毛や薄毛に悩む人は2億5000万人以上いるという。脱毛症の問題が社会的に注目されるようになり、中国の植毛市場は急速に発展し始めた。人工知能(AI)を搭載した植毛ロボットの開発を手がける「磅客策智能医療科技(Puncture Robot)」(以下、磅策医療)もこのほど、プレシリーズB+で易高資本(Yigao Capital )から数千万元(数億~十数億円)を調達した。資金は、脱毛症の診断や治療ソリューションの強化、植毛ロボットのマーケティングに充てられる。
ハルビン工業大学の支援で2019年に設立された磅策医療は、毛髪の検査から診断、治療、養生に至る全プロセスのソリューションを提供する。同社は、ロシア工学アカデミー(RAE)会員・孫立寧氏のチームと復旦大学付属華山医院皮膚科主任・呉文育教授のチームによる支援を受け、自毛植毛ロボットプロジェクトを実用化した。同社の植毛ロボットは、毛包を精確に採取する技術と的確な施術を通じて手術時間を大幅に短縮し、手術の効果を向上させると同時に、医師の負担を軽減することが期待されている。
植毛市場の拡大が続く中、同社の植毛ロボットは非常に大きな可能性を秘めている。経済情報分析の華経情報網(huaon.com)のデータによると、中国の植毛市場規模は2023年に約358億元(約7200億円)となり、向こう数年でさらに成長する見込みだ。しかし、市場競争は日に日に激しさを増しており、どの企業も低いリピート率や顧客獲得コストの高さに頭を痛めている。磅策医療の植毛ロボット技術は、こうした企業に新たな突破口とセールスポイントをもたらした。
同社の植毛ロボット「HAIRO」は、手と目の動きを統合するAI操作システムとAI認識技術で、毛包の状態を正確に分析してから採取する。従来の手作業による植毛に比べ、HAIROはより効率的な植毛が可能で、頭皮の創傷面積も少ないことから、患者の満足度向上につながる。さらに1時間当たり1000回以上の穿刺が可能なため、手術時間をこれまでの約3分の1に短縮できるという。
臨床試験のデータによると、HAIROを使用した手術の成功率と植毛後の定着率は、手作業による植毛の平均水準を超えた。今年初めに中国で三類医療機器の登録申請を出し、海外でも米国食品医薬品局(FDA)と欧州CEマーキングの認証を申請したほか、海外企業との提携交渉も進んでいる。
すでに顧客の総合病院や民間医療サービス機関が植毛ロボット購入を検討しており、これまでに数十台分の発注の意向が示されたという。
磅策医療は、植毛技術を大きく進歩させただけでなく、脱毛症の診断や治療の全プロセスにわたるソリューションの確立にも力を入れている。AI技術を取り入れた脱毛等級診断機器「Hair tracker 3S」がリリースされれば、医師は脱毛等級を正確に自動判定するサービスを利用できるようになる。また、超音波経皮治療機器や育毛ヘルメットなどのホームケア製品に加え、オンラインでカルテ閲覧や治療効果モニタリングが可能なクラウド型データ統合プラットフォームのリリースを計画している。
新製品については、毛包の採取と植毛をこなす第2世代植毛ロボット「Normanrobo」と長い毛髪の採取が可能な第3世代植毛ロボット「HAIRO L」の開発が進行中で、どちらも複数台のプロトタイプが試作され、非臨床試験が進められている。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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