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農業ロボットの開発を手がける中国スタートアップ企業「Viewer Tech(緯爾科技)」がこのほど、シリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資は、粤港澳大湾区国家技術創新中心(GBA NCTI)の傘下にある広華資本が主導。資金は製品開発・改良や事業開拓、人材採用に充てられる。
Viewer Techはこれまでに3度の資金調達を通じて、昆侖資本(Kunlun Capital)や清水湾基金、零以創投(Lingyi Capital)などの著名投資機構から累計で数千万元を調達した。
2022年から本格的に事業を展開した同社は、精密農業に特化し、大規模農場向けにスマートデバイスやデータ分析、意思決定支援システムを提供することで、農業機械産業のデジタル化、精密化、効率化、ハイテク化を後押ししている。ロボットやセンサー、ナビゲーション、自動システムなどに関する技術をベースに、綿花摘み取りロボット、畝間除草ロボット、田植え精度監視モジュールといった革新的な製品をリリースし、農業生産の正確性・効率性・安全性の向上とグリーン化の推進に貢献している。
中国で農業全体の機械化率は年々上昇しているが、従来の機械では作物の成長や複雑な作業環境に対応できないため、農地管理の機械化は進んでいない。環境への対応力に優れ作業精度の高い農業機械があれば、農業技術を十分に活用できるうえ、農作業の効率向上やコスト削減、農地管理の合理化を図ることができる。
例えば、収穫が年に1回の綿花は基本的に栽培と生産の各工程が機械化されているが、重要な摘み取りの工程は相変わらずほとんどが手作業で、機械化が遅れている。同社が開発した綿花摘み取りロボットは、センサーシステムとスマート制御システムが搭載され、人と同じような摘み取り作業が可能だ。導入すれば、使用する農薬を減らせるうえ、手作業の効率の悪さやコスト問題の解決にもつながるという。
農地の除草において、中国では一般的に化学物質を含む除草剤が使われており、特殊な作物では手作業に頼っている。しかし、化学物質は作物の成長に影響を及ぼすうえ、いくつかの種類の雑草はすでに除草剤に対する耐性を持つようになっている。また、除草剤の使用は土壌汚染につながり、農薬残留が食の安全も脅かす。一方で、手作業の除草は効率が極めて低く、コストがかかる。
Viewer Techは大規模農場用に畝間除草ロボットを開発、先進的なマシンビジョン技術を採用し、畝を正確に検知すると同時に農機具を自動制御することで、作物を傷めない除草を可能にした。
このロボットは、搭載されたカッターが畝間の雑草を素早く取り除き、24時間の連続作業も可能だ。時速は最高18キロ、作業面積は1日当たり1000ムー(約67ヘクタール)以上、除草率は90%以上に達し、除草だけでなく、土壌を軟らかくする効果もあるという。
また、人工知能(AI)を搭載した同社の田植え作業精度監視モジュールは、田植機の植え付け部に取り付けると、高速作業の中で正確に植えられなかった苗を検知し、直ちに音と光でアラートを発する。クラウドプラットフォームに苗のヒートマップを作成し、苗が植えられなかったエリアを表示。ユーザーは、ダッシュボードで作業面積、作業効率、作業精度評価などをリアルタイムに分析でき、その結果を農地の総合管理や増産計画などに生かすことができる。
Viewer Techの綿花摘み取りロボットは試験生産を進めており、新疆生産建設兵団第六~八師や新疆ウイグル自治区アクス地区の農業サービス業者などに販売されている。すでに第二世代へのアップグレードが完了しており、ソフトウエアからハードウエア、アーキテクチャ、アルゴリズムに至る全分野の開発能力を確立した。
創業者の柳錚氏は「世界的に農業機械のスマート化が進んだことで、中国メーカーは世界大手を追い抜くかつてないチャンスを迎えた。スマート農業機械は、正確に作業できることが大きな競争力となる。当社は『農機具は農業技術』という製品コンセプトを実践し、テクノロジーを使った農業生産力の向上を目指している」と話した。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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