ChatGPTを抜き全米DL数1位に急浮上⋯米「TikTok難民」、次の「居場所」に中国SNS・小紅書(RED)に殺到

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中国バイトダンスが運営するショート動画アプリ「TikTok」について、米国内での使用禁止につながる新法の発効が目前に迫っている。

米連邦最高裁判所は1月10日、TikTokの使用を規制する新法の合憲性について口頭弁論を開いたが、最高裁は新法を支持する方向に傾いているとみられ、TikTokに有利な流れにはなっていない。新法の発効が19日に迫るなか、TikTokユーザーが次の「居場所」を探して動き出している。

予想外だったのは、米国ユーザーの多くが自国のフェイスブックやインスタグラムではなく、中国版インスタとも呼ばれるSNS「小紅書(RED)」に乗り換えていることだ。1月13日から14日にかけてアクセス数が爆発的に増加し、数日前まで米国AppStoreのアプリランキングで200位圏外にいた小紅書は一躍トップに躍り出た。ちなみに、ランキング2位に入っているのは、TikTok親会社バイトダンスの新ライフスタイル投稿アプリ「Lemon8」だった。

TikTok禁止危機のバイトダンス、米国で新SNS「Lemon8」を仕込み中

一部のTikTokインフルエンサーが小紅書を「中国語版TikTok」と呼んだことで、瞬く間に人々の注目を集めるようになった。実際、大量の米国ユーザーが小紅書に流入しており、「TikTok難民(#TikTokrefugee)」というハッシュタグを添えた投稿が数多く見られる。また多くの中国ユーザーも米国ユーザーを歓迎するために英語で発信し、それぞれの文化や若者に人気の趣味、中国語の学習方法など、国を越えた交流が広がっている。

REDより

TikTokには本物の中国語版「抖音(Douyin)」が存在するのに、なぜこちらを利用しないのかと疑問に思うかもしれない。実は、抖音は中国の電話番号がないとユーザー登録ができないうえ、国内向けサービスとして運営しているため米国内ではダウンロードできないのだ。これに対し、小紅書はどの国の電話番号でも登録でき、米国のAppStoreでもダウンロード可能なため、大量の「TikTok難民」が押し寄せることとなった。

英語表記のアプリが並ぶ中で、漢字表記の小紅書はひときわ目を引く

ただ、アプリの位置づけという点では、TikTokと小紅書は大きく異なっている。TikTokはエンタメ要素を前面に打ち出し、ショート動画やライブ配信をメインに据えている。中国本土を除く世界のユーザーは15億人以上。一方の小紅書はソーシャル性やEC機能、コンテンツのシェアに重心を置き、ライフスタイルに関わる発信や消費にフォーカスした若い女性向けの内容になっている。ユーザーは3億人で、そのほとんどを中国国内や海外在住の中国系ユーザーが占める。

利用者3億人の中国版インスタグラム「小紅書」、EC事業強化で業績向上狙う 新興ブランドも積極導入

現在、米国には1億5000万人を超えるTikTokユーザーがいる。ユーザーが代替アプリとして同じ中国の小紅書を選んでいるのは、米政府のTikTok禁止令に対する反発の表れだと、米フォーブス誌は分析する。あるユーザーは米X(旧ツイッター)に「もし米国政府がセキュリティー上の懸念からTikTokを禁止するというなら、直接その源に乗り込んでいくまでさ」と投稿している。

米国のTikTokユーザーが大量に流入したことで、小紅書は一夜にして人気アプリとなったが、この状況を喜んでばかりもいられない。海外ユーザーの投稿するコンテンツが大幅に増えれば、監視やコンプライアンス面での負担が大きく増すことになる。さまざまな文化を自由に表現できる環境を保ちつつ、当局の規制にも厳格に従う必要があるからだ。さらに、米政府がTikTokに対する警戒を強めてきたことを考えると、小紅書も決して無関係ではいられない。今後、データプライバシーやコンプライアンスなどの問題をめぐって、米当局が小紅書を標的にする可能性もあると言えよう。

(編集・翻訳:畠中裕子)

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