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主にインドで人気の動画再生アプリ「MX Player」が、中国の超大手IT企業テンセントなどからシリーズAで1億1080万ドル(約120億円)を調達した。CEOのKaran Bedi氏が、先月30日(中国時間)に明らかにした。
MX Playerはオフライン再生、ストリーミング再生の両方に対応した動画再生アプリで、月間アクティブユーザー(MAU)は1億7500万人に達し、グローバルユーザー数は2億8000万人を超えている。昨年、ストリーミングメディアとしてのサービスを始動し、インド最大の音楽配信アプリ「Gaana」を買収したほか、今後はミニゲームもプレイできるようにする計画だ。
Karan Bedi氏によると、今回調達した資金はオリジナル番組の製作と契約番組の拡充に用いられる。米テック系メディアTechCrunchはMX Player関係者の話を引用し、今回の資金調達後に同社の評価額が5億ドル(約540億円)に達したと報じている。
テンセントがMX Playerに出資した背景には、コンテンツ製作者への支援と対インド投資戦略の転換がある。同社はこれまでインドの成熟企業を中心に出資を行ってきたが、コンテンツ分野で有望なスタートアップにも目を向け始めたということだ。すなわち、これはインドの地方や農村部の新規インターネット利用者や若者に着目したということでもある。
事実、テンセントはインドのスタートアップに対しても次々と出資をはじめている。前出のGaanaをはじめ、チャットアプリ「Hike」やオンライン教育サービス「BYJU’S」などが一例だ。
インドでもスマートフォンの普及率が上がり、高画質動画を配信できる通信インフラが整ってきたことで、モバイルインターネットを経由する娯楽市場が爆発的な成長をみせている。英大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパースは、インドの動画ストリーミング市場が2023年には1200億ルピー(約1800億円)規模に達すると予想する。
ただし、インドのコンテンツ関連業界にはすでに強力な競争相手が存在する。中国のアリババグループがインド戦略の柱に据えるモバイル端末向けWebブラウザ「UC Browser」は、すでに単なるブラウザツールからコンテンツプラットフォームへと成長を遂げた。またフェイスブック傘下のインスタントメッセンジャー「WhatsApp」は、インド国内で1億人のアクティブユーザーを抱える人気アプリとして君臨する。
さらに、ウォルト・ディズニー社はインドで最大の視聴率を誇るテレビ局「Star India」を所有しており、その傘下のOTT(コンテンツサービス)「hotstar」が提供するスポーツ番組はインド国内で広く視聴されている。フェイスブックも今年4月、インドの国民的スポーツとされるクリケットにおいて国際クリケット評議会(ICC)と提携し、2023年までのワールドカップの独占デジタルコンテンツ権(インド亜大陸限定)を取得している。
※画像提供:Pexels
(翻訳・愛玉)
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