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中国バイオテクノロジー企業「ベイジーン(百済神州)」と米バイオ医薬品最大手「アムジェン(Amgen)」が、がん治療においてグローバルな戦略的提携を締結したことがわかった。ベイジーンは、アムジェン製がん治療薬3種類の中国における開発と商品化の権利を取得する。同時にアムジェンは27億ドル(約3000億円)、もしくはADS(米国預託株式)1株当たり174.85ドル(約1万9000円)の価格で、ベイジーンの株式20.5%を取得する見通し。今回の取引は2020年第1四半期には完了する予定だ。完了後、アムジェンはベイジーンに取締役を1人派遣する。
3種類の抗がん剤とはそれぞれ「Xgeva(一般名デノスマブ)」「Kyprolis(同カルフィルゾミブ)」「Blincyto(同ブリナツモマブ)」だ。ベイジーンはこれらの製品について、中国で5~7年にわたり販売する。期間満了後も1種類の製品は権利を保留でき、残り2種類の製品についてはさらに5年間、中国での販売ロイヤリティを得ることができる。
今回の戦略的提携によってベイジーンは革新的な治療薬を国内のがん患者に提供できるようになったほか、アムジェン側も世界で最も人口が多く、がんの罹患率も高い中国で同社の影響力を拡大し、より多くの患者にサービスが提供できるようになった。
ベイジーンについて
ベイジーンは2010年に設立。革新的な分子標的薬とがん免疫治療薬の開発・商業化を専門とするバイオテクノロジー企業だ。中国、米国、欧州、豪州で事業を展開している。2016年、ナスダックに上場し1億8200億ドル(約200億円)を調達。わずか3年の間に株価は24ドル(約2600円)から138ドル(約1万5000円、執筆時)まで上昇。現在同社の製品ラインナップには新型の内服用低分子医薬品やモノクローナル抗体の抗がん剤などがあり、臨床試験を実施中あるいは計画中の薬品は50を超える。
現時点で同社は世界に1000人を超える臨床開発チームを有しており、その規模は中国国内だけでもすでに600人を超えている。グローバルなチームとその規模の大きさも海外製薬企業を引きつけた理由の1つだったようだ。
アムジェンについて
アムジェンは1980年に設立。2017年には米経済誌フォーチュンによる企業番付「フォーチュン500」の123位にランキング入りしている。同社は主に細胞生物学に基づいた治療薬の開発と生産、マーケティングを手がけており、がん、血液疾患、心血管疾患、炎症、骨・関節疾患や腎臓疾患、神経疾患などを対象とする。
中国のがん治療薬市場について
2019年1月、中国の国家がんセンターが発表したデータによると、2015年の悪性腫瘍罹患数は全国で約392万9000人、死亡数は約233万8000人だった。1日当たり1万人を超える患者ががんと診断されている(全国腫瘍登録センターのデータは一般的に3年遅れのものであり、今回発表されたデータは2015年の登録資料に基づく)。
「天風証券(TIANFENG SECURITIES)」のリポートでは、がんは死亡率が高いため、患者は効き目が確かで高い臨床価値をもつ治療薬にはお金を惜しまないとし、今後10年のがん治療薬市場は非常に大きな可能性があるとしている。
(翻訳・山口幸子)
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